窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「舞いあがれ」(004)

第01週「お母ちゃんとわたし」(木)

放送日

  • 2022年10月06日

登場人物

  • 哀川翔(木戸豪、船大工)
  • 長濱ねる(山中さくら、島の若者)
  • 前川清(谷久也、医師)
  • 永井響(山口邦彦、教師)
  • 酒瀬川真世(大坪礼子、教師)
  • 絢香(浦凛、一太の妹)

概要

舞が初めて祥子の家を訪れた日。船大工の木戸や港に売店を持つさくらがやってきて、にぎやかになる。祥子に紹介され挨拶をする舞は居場所ない感じだったが、そこへ診療所へ行っていためぐみが帰って来る。さくらが持ってきたタコを興味津々で触りはしゃぐ舞だが、めぐみに注意されてしまう。その様子に祥子は違和感を感じる。翌日、舞はまたもや熱を出し診療所の医師・谷先生に診察してもらう。(NHKオンデマンドの解説より)

祥子の家は近所の人がやたらに出入りしている。島という環境では自然とそうなるのかも知れないし、祥子が一人暮らしだから案じてくれているのかも知れないが、祥子の人柄を表わしてもいる。

大阪からの長距離移動に加えて、新生活への興奮から、舞はまた熱を出してしまう。見舞いに来た一太は、河童除けの踊りを踊って舞を笑わせる。一太には凛という妹がいた。舞への好意の示し方が馴れているように見えるのはそのせいか。一太と凛は歩きながら讃美歌を歌う。なるほど、長崎だから教会とfamiliarなのか。

今日のハイライトは、来週は課外活動で意味に行きますと言われた舞が、うきうきしてプリントを祥子に見せるが、めぐみは、また熱が出るのを心配する。「やめた方がええ?」「そやね」「わかった……」のあと、祥子が舞に訊く。舞ちゃんはどうしたいの? めぐみが答えかけると、祥子は一喝。舞に訊いているのだ、あんたにではない、と。舞は「行きたい……」と答える。

浅田芭路の演技が見事。知り合って三日? しか経っていないおばあちゃんに、嬉々として話しかけるが、大好きなお母さんと向き合うと、上目遣いで口ごもる。これまでにも、「飼育係をやめた方がええ?」とか「学校に行かん方がええ?」と、否定的にめぐみに問うシーンがあり、五島に行こうと言われた時も、舞自身は恐らく、せっかく仲良くなれた望月久留美と別れるのは厭だと思ったに違いないが、自分のことを心配してくれている母の言うことには逆らえないと思い、YESと答えたに違いない。めぐみは、無意識のうちに舞を抑圧しており、それが発熱という形で出て来たのではないか。

もちろん、発熱を心配するめぐみが悪いわけではない。舞はさくらのお古の長靴をもらっておおはしゃぎし、当日は朝から軍手をつけるなど、興奮しているのが丸わかり。さぞ楽しい一日になったであろうが、恐らくその夜は発熱するだろう。めぐみは、行かせなければ良かったと考えるのではないか。ただ、自分の希望をはっきり口に出し、それを聞いてくれた人がいた、という事実は、長い目で見た時に、舞にいい影響を与えると信じたい。

めぐみが浩太に電話して、お母さんに葉書を出してくれていたのね、と告げるシーンもよかった。「お前に言ったら反対されるかも知れないと思って、黙ってやって堪忍な」「ううん、ありがとう」こういうことをきちんと口に出して言い合えるのは素晴らしい。「こっちは大丈夫だから心配するな」という浩太の机の上には請求書の束が散乱している……。悠人がちゃんとご飯を食べているのかどうかが気がかりだ……。

祥子が、訪れた人に「この子は誰?」と訊かれ、ニコニコしながら「孫たい」と答えるシーンも良かった。


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