窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「舞いあがれ」(017)

放送日

  • 2022年10月25日

登場人物

  • 大浦千佳(山田紗江、岩倉螺子の事務員)
  • 中村凛太郎(尾藤岳)←?(工員か?)
  • 吉井基師(小森富雄)←?

概要

新入部員として人力飛行機の翼のリブ作りを刈谷から任される舞。気になるのは女性でパイロットを務める由良の存在。記録のためにひたすら体力トレーニングをする由良を舞や部員たちは期待と尊敬のまなざしで見つめる。そんな中、なにわバードマンの代表・鶴田が一つの封筒を携え部室へ。それは、目標としていたイカロスコンテストへの不合格通知だった。(NHKオンデマンドの解説より)

浩太はCIにかぶれ、スローガンを考え、ホームページの開設などを検討中。

刈谷は尾翼を大きくすることを鶴谷提案。その方が機体が安定すると。

貴司は約束通り初任給で久留美と舞に食事をご馳走。店は「うめづ」だが。仕事は大変だけど、以前よりもずっと、本を読みたい、とか、詩を書きたい、とかいう気持ちが強くなったと言う。久留美も、看護学校へ行ってやっと夢のスタートラインに立てたと燃える。そこへやってきた客は、悠人だった……

雑感

昨日、NAMIWAバードマンが紹介され、イカロスコンテスト出場への目標を語った翌日に、失格になるとは思わなかった。鶴田は、イカロスコンテスト出場の代わりに、飛行記録に挑戦したいと言う。不合格通知を見て、すぐにそのまま部室に来たのではなく、代替案を考えてからみんなに知らせたのかな。できるリーダーだ。

浩太がCIにかぶれているのが非常に不思議だ。

CI(コーポレート・アイデンティティ)は、1970年代から始まっていたが、ブームになるのは1980年代だ。CIの基本は、企業理念や戦略というものを明確にし、それを社内外に徹底させる(ことにより社内に一体化を生み出し、社外に対して企業をアピールする)ことで、それ自体はいつの時代でもすべきことだが、実際にはキャッチフレーズの作成、ロゴマークの新規作成、企業名の変更、それに基づく新たな会社案内の作成などの「行動」を意味した。たいてい広告代理店が仕掛け人となり、コピーライターやデザイナーを総動員して高いお金を取るのだ。ロゴマークや社名が変われば、ユニフォームから封筒、名刺、伝票に至るまであらゆる書類が印刷のし直しになる。

つまり、CIというのは滅茶苦茶お金のかかることだった。

これはバブル経済に乗ってブームになり、CIを導入したこと自体がステイタスになる時期があったが、バブルの崩壊とともにブームは去り、1990年代の後半には死語になった。流行があっという間に終焉を迎えた理由は単純で、費用対効果が全く見合わないものであったことがはっきりしたからだ。

企業の一体感を醸し出し、社外にアピールするにはどうしたらいいか、というところからスタートすべきところを、CI=カッコいいロゴマーク、のような図式でのみ語られ、本来の理念が横に措かれていたのだから当然だ、と、80年代の前半にCI活動に関わった者としては思う。

そのCIが、2004年の岩倉螺子製作所の社長のマイブームになっているのはどうした事情かと考えている。

中央では死語になったとしても、ひとまわり遅れて中小企業でブームになったりするのはよくあることなのか。浩太がたまたま古本屋で見つけた企業経営の本に載っていたのか。

これまで長い間工員2名でコツコツやっていたのを、10年で大きく伸ばしたから、旧態依然のやり方では通用しない、新しい仕組みをいろいろ考えていかないと、と思っているであろうし、財政的には余裕があるだろうし、こういうところは狙われやすいのだ。誰かに騙されているのでなければよいが……。
(2022-11-02記)


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