窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「らんまん」(128)

最終週「スエコザサ」(水)

放送日

  • 2023年9月27日

概要

波多野、徳永の推薦で、万太郎は理学博士になることに。寿恵子は心から喜ぶ。(NHKオンデマンドの解説より)

藤丸の持ってきた干物を焼いている時に寿恵子は菜箸を落としてしまう。それに気づいた千鶴が料理を交代する。

波多野の薦めに、当初、万太郎は辞退した。大学にさんざん不義理をしてきた自分が、今さら学位などおこがましい、それにまだ自分のなすべきことを成していない、と。それに対して波多野は「傲慢だ」と言う。「槙野万太郎は自分の意志でここまで来たと思ってるんでしょ? 槙野万太郎がここにいるのは時代なのか摂理なのか……そういうものに呼ばれてここにいるんだ」と言っている横から、寿恵子が口を挟む。

「図鑑を成し遂げてから? そんなの遅いですよ! 先に理学博士になったら、売れるじゃないですか!」

これには万太郎も苦笑せざるを得ない。改めて波多野に推挙をお願いするのだった。

博士号が決まり、銀座に一張羅の服をあつらえに行くことになった時、万太郎は寿恵子を病院に連れて行く。「私、何ともないですよ?」と言う寿恵子に「何ともなければ、安心できるから」と答える万太郎。

理学博士号の授与式。万太郎は語る。「植物と共に歩く中、私は学者として大きな発見をいたしました。それは……あらゆる命には限りがある。植物にも人にも。ほんじゃき、出会えたことが奇跡で…今生きることがいとおしゅうてしかたないと」

今日の徳永教授

「ああ、最後まで、世話の焼ける」

感想

藤丸が持ってきた干物や黒はんぺんを寿恵子が落とすのでは!? と危ぶまれたがそれはなかった。代わりに菜箸を落とした。たとえ劇中であろうと、食べ物は粗末に扱わない、という制作陣の矜持のようなものを感じた。

寿恵子の目から光が消えつつある。「病院へ連れて行く」とは言ったが、連れて行くシーンは描かれない。でも授与式の日には結果がわかっていたのではと思われる。いくら松坂千鶴が、私は母も父も看取った、と言ったのを聞いたとはいえ、それを追体験するのはやはりつらい。

その寿恵子が、「理学博士になったら、売れる! なんなら増刷いっちゃう!」と言い出した時は、わずかに光が戻っていた。寿恵子の生体エネルギーの源はここなのだ。

もちろん肩書の有無は売上げにも影響するだろうが、恐らくはそんなに長生きできないことを察していて、自分の目の黒いうちにもらってほしいというのが正直な気持ちだったのではないか。万太郎は、その寿恵子の気持ちを感じて、受けることを決意したのだと思う。

若い役者の老け演技の共演がなかなか興味深い。はっきり言って寿恵子の圧勝だ。万太郎も波多野も藤丸も、喋り方が若い時とあまり変わっていない。

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