第9週「カカシみたいなワテ」(金)
放送日
- 2023年12月1日
概要
楽劇団が解散して数週間、スズ子は何をするでもなく日がな一日を過ごしていた。そんな時、スズ子は大阪に戻ってこないかと誘われる。しかし、大阪でもかつてのように自由に歌うことはできないと聞いていたスズ子は、これからどうしていいのか悩んでしまう。スズ子は羽鳥善一に相談するのだが、やはりなかなか答えが出ない。そんなスズ子に、善一は茨田りつ子のコンサートのチケットを差し出す。(NHKオンデマンドの解説より)
茨田りつ子のコンサート(というかディナーショーのような雰囲気だったが、料理は何も出ていなかった)で感銘を受けたスズ子は楽屋まで行って茨田に「感動しました」と伝えるが、「他人の歌に感動している場合じゃないでしょ」と言い返される。
帰り道、また屋台で飲み潰れていた梅吉を見たスズ子は伝蔵に謝罪するが、伝蔵は「あれは殴られて当然」という。聞けば、二人組の客が「今の福来スズ子はぼーっと突っ立って、面白くもなんともない。もう終わりだ」と言ったのを聞いた梅吉が殴り掛かったというのだ。それを聞いたスズ子は、梅吉の隣に座って酒を飲み出す。目を覚ました梅吉と、ツヤの思い出を初めて語り合う。
茨田を見習い、自分の楽団を作る決心をしたスズ子は、一井のもとを訪れた。
感想
梅吉の喧嘩の原因はスズ子の悪口だろうとは想像が付いたが、逆だった。このサラリーマン風の二人は、舞台を踊り回るスズ子も現在のスズ子も劇場で見ていて、今のスズ子は詰まらないと言っているのだ。つまりスズ子の大ファンなのではないか。それに殴り掛かった梅吉もアホだが、「殴られて当然」と言った伝蔵も客商売のくせにわかっていない。「当局からの締め付けが厳しくて、ああいう歌い方しかできないんですよ……」とでも話しかけていたら、スズ子の話でおおいに盛り上がった可能性もあるのに。
恐らくスズ子はそのことに気付いた。変わるきっかけは茨田のステージだったかも知れないが、背中を押したのはこの二人のサラリーマンだったのではないか。期待してくれている人がいるんだと。
ただ、これで父との和解が済んだことになるとしたら、いささか安易だと思う。今の梅吉にはやることがなく、知り合いもいない東京で飲んだくれるしかない生活では、寿命を縮めるだけだ。一度大阪へ帰り、生活を立て直すのもアリなのではないかとは思う。