第17週「ほんまに離れとうない」(月)
放送日
- 2024年1月22日
登場人物
- 中谷悠希(羽鳥カツオ)
概要
トミから伝言があると、社長秘書室長の矢崎が、スズ子と愛助のもとにやってくる。その内容は、そろそろ二人が結婚してはどうかというものだった。ただし、スズ子が歌手をやめることが条件だという。二人を応援したい坂口は、トミを説得しに大阪へと向かう。一方、歌手をやめろと言われたとスズ子から聞いた羽鳥善一はとても動揺してしまい……。(NHKオンデマンドの解説より)
感想
愛助はやっぱり世間知らずのボンボンなんだなあ、と強く思わされたシーンだった。
トミは一貫してスズ子の人物が悪いとは言っていない。歌手を続けていたら村山興業の次期社長夫人は務まらないと言っている。愛助はそれに対してどのように説得するつもりだったのか? ただ既成事実を積み重ねて、「お母ちゃん」が折れるのを待っていたのか?
愛助とスズ子が結婚するための選択肢は三つだ。
- スズ子が歌手をやめる
- 愛助が村山興業を出る
- 愛助は村山興業を継ぎ、スズ子も歌手を続ける
そうでなければ別れるしかない。
スズ子は現実的に一番目の選択肢を視野に入れて悩んでいるのに、愛助が二番目の選択肢を全く考えていないことに忸怩たる思いはある。が、いずれにしても、二人にとって望ましいのは三番目ということになるだろう。
とすると、社員や芸人の「お母さん」になれるような人を、社長夫人以外に求める、とか、家族的な組織から「お母さん」役がいなくてもやっていけるよう体質に変える、などの方策が考えられる。組織としてどうあるべきか、坂口や山下に相談したり、愛助が好きなキートンやチャップリンなど海外の芸能事務所はどのように運営されているのか調べる、などの努力をすべきだった。
その上で、自分が社長になった暁には村山をこうする、と、スズ子なしでもやっていかれる青写真をトミに示せば、話を聞いてもらえる余地はあるかも知れない。しかし愛助はなーんも考えていなかったのだ。
二年間あれば、そうした準備はできたはずでしょう、というのがトミの言い分なのではないか。
ところで坂口が「(矢崎に)クンロクを入れる」というセリフがあるが、この意味がわからなかった人が少なくなかったらしい。「クンロクを入れる(たれる)」は、表向きは「説教をする」意だが、実際には、「ヤキを入れる」≒「カタに嵌める」≒「うたわす」意で用いられる言葉。要は「ギタギタにしたる」ということ。「(殺すまで)残り4%」が語源らしい。