題名 | 宇宙戦争(War of the Worlds) |
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原作 | H.G.ウエルズ |
監督 | スティーヴン・スピルバーグ |
出演 | トム・クルーズ(レイ・フェリエ)、ダコタ・ファニング(レイチェル・フェリエ)、ジャスティン・チャットウィン(ロビー・フェリエ)、他 |
制作 | USA(2005年6月29日日本公開) |
時間 | 116分 |
人気=観客動員数の割には、シビアな評価をあちこちで目にする。宣伝に釣られて一度は行ってみるが、期待したほどではなかった、と感じた人が多かったのだろうか? 僕は普通に面白かった。
結末は、知らない人にとってはあっと驚く意外さがあったかも知れない、でもあまりにも説明不足で何が起きたのか理解できなかったかも知れない。原作を知っている人にとっては初めからわかっていたことである。僕らの世代にとってウエルズの「宇宙戦争」といえば古典中の古典。原文に忠実な翻訳は読んだことがなくても、ジュブナイル版は一度は読んだことがあるはず。読んだことがなくても、ストーリーは知っているはずだ。だからあの程度の説明で十分。
宇宙には、人間よりもずっと科学の発達した知的生命体がいる可能性は十分にある。そうした生物と兵器を持っての戦争となったら、まず勝ち目はない。これは日本でいう江戸時代末期に、眠れる獅子といわれた清国がアヘン戦争の結果どうなったかを考えれば明らか。しかし、存在を意識することすらなかったような下等な生命体に息の根を止められるという、単に意外なだけでなく、生命の不思議さ、偉大さを考えるきっかけにもなる、よくできた話である。実際、途上国を侵略して武力制圧したと思った時に風土病にやられ、撤退せざるを得ない、などということは歴史によくあることで、リアリティも十分。
100万年も前から計画を練っていた割にはお粗末ではないか、という意見が多く見られたが、それは誤解だろう。「100万年も前から……」というのは、トム・クルーズが勝手に言っているだけで何の根拠もない。そんなことを調べたり、検証したりしている余裕は人類にはなかったはずで、パニックの中伝わってきた単なる噂だろう。地表にあのようなものが大量に埋まっていながら100万年も気づかないほど、人類は無力ではない。そもそも、いったん兵器を大量にばら撒きながら、稼動を100万年も待つ理由がないだろう。
強いて疑問といえば、侵略者の侵略理由だ。地球に移り住むつもりがなかったのは、滞在可能な環境かどうかの下調べをしていなかったことで明らか。何らかの特定の資源が必要だとしても、あそこまで徹底的に破壊する必要があったかどうか。となると、侵略者は自分たちの国を代表して来ているのではなく、プライベートな海賊のようなチームで、破壊と殺戮を楽しんでいただけなのかも知れない。
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