窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

ガリレオ 第3話「騒霊ぐ(さわぐ)」

出演

  • 広末涼子(神崎弥生)
  • 渡辺裕樹(神崎直樹)
  • 甲本雅裕(高野昌明)
  • 森康子(高野ヒデ)
  • 林剛史(村瀬健介、湯川ゼミの学生、神崎弥生の弟)
  • 葵(谷口紗江子、湯川ゼミの学生)

解説

今回は、内海薫が湯川学に相談を持ちかけるのではなく、湯川が行方不明になった知人の調査を内海に依頼するところから始まる。

この時の内海の態度はいただけない。改めて指摘されるまでもなく、これまで湯川にはずいぶんとお世話になっているのだ。たまに湯川の頼みごとをきいてあげてもバチは当たらないだろう。「今日は非番なのに……」との言い訳には腹が立った。湯川だって、そう言いたい時は何度もあっただろうに。

成人の行方不明は、立件がむずかしい。本人の意思で「家出」したのかも知れないからだ。しかも年間、相当数の不明者がいるとあっては、警察としても、いちいち詳しく調査などしていられない、という事情はあるだろう。当然、不明者の家族は納得できない思いでいるだろう。だからこそ湯川を、そして内海を頼ってきたわけで、それを斟酌できないのか、オマエは? と言いたくなった。

そもそも、今回のような事情――不明者は周囲の人みんなから好かれ、尊敬される好人物、結婚後まもなく、妻は第一子を妊娠中。最後に訪問したと思われる家では、同じ日に家主が死亡、あとにはうさんくさい人物が居座っている――で、生活安全課が問題なしとして調査を打ち切ったのは疑問である。

せめて、現在住んでいる人の身元や家主との関係くらいは調べるべきだった。そうすれば、甥が借金取りに追われていることもわかり、そうなると家主の死因も再調査の必要が出てきて……となったかも知れない。

一方、真相をつかみかけた湯川(と内海)が、嘘の電話をかけて犯人たちを外出させ、その間に家に上がって畳をあげるなどして物色したのはいくらなんでもやり過ぎだろう。結果オーライで、湯川・内海が何も罰せられなかったのなら、それはそれで問題だ。

振動の原因には確信があったのだろうが(それを実験で確かめてから室内の物色にうつったのだが)、それと「祟られる理由がわかっているから誰にも相談できないのだ」という推測だけで神崎直樹を殺害犯だと決めつけるのは飛躍があり過ぎないか。

弓削志郎は内海に対して「余計なことに首を突っ込むな」と叱り、真相を(うすうす)知っている視聴者は理解のない上司にイライラするわけだが、今回に限って言えば、弓削の態度が正しい。

内海が事件の概要を話した時に湯川が黙っていると、「何も言わないんですか? 実に、面白い、とか、さっぱり、わからない、とか」と突っ込む。「実に、面白い」や「さっぱり、わからない」が湯川の口癖として定着している前提での突っ込みである。

はじめてゼミ生が湯川のことを噂する。「先生って、彼女いるのかな?」「いるわけないだろ、変人ガリレオに」「でも(あの女刑事のことを)カノジョ、って言った時の言い方が、ちょっと意味ありげじゃなかった?」

ラスト、湯川を訪ねた内海は髪をおろしていなかった。珍しく憎まれ口は叩かず「もう少しここにいさせてもらっていいですか」。湯川も、今回は屁理屈をこねず(内海が余計なことを言わなければ、こねる理屈もないんだが)、「何も食べてないんだろう? おにぎりを買ってくるけど、なにがいい?」。ぎょえーっ、湯川先生って、こういう優しさを出せる人なんだ。

しんみりしたラストから、軽快なエンドロールはちょっとギャップがあるけど、こんな終りがあってもいい。

1回目、2回目でパターンを作り、3回目でそれをちょっと崩す。また、新しいパターンを始める。シリーズものの醍醐味が味わえた回だった。

湯川のインスピレーション

研究室内で地図を見て。数式はチョークで黒板に書き出す。それにしても、今でもホワイトボードではなく黒板を使っているんでしょうかね。

湯川のスポーツ

湯川先生、今回はクライミング(インドアクライミング)をやっていた。クライミング、僕も一度やったことがある。下から見ていると簡単そうに見えるのだけど、ほんの数メートルの高さでも、登ってみるとものすごく怖い。それに、まっすぐな壁がだんだん前傾してくるのも、恐怖心と難易度を倍加させる。湯川先生が、というより、福山はかなりのスポーツマンなんだなあと思う。

城ノ内と内海

内海と城ノ内桜子が会談(?)する場面では、ふだんは冷静な城ノ内が、「そうなのよ! 男の人って突然いなくなるの」と大きな声を出す。いったい過去に何があった、桜子!?(それとも最近の話か?)

ゲスト

広末は、こういうちょっと意地の悪い女を演じると、抜群にうまいと思う。

リンク

確かに、弥生の旦那は殺さなくても良かった。ただ、ここで騒がれてヒデの死因に疑問を持たれると、無罪とはいかないだろうし、警察沙汰になれば、今回の脅迫・不法占拠もそうだし余罪がぼろぼろ出てきそうだから、口封じのために最も短絡的な方法を選んだのでしょう。家に入ってきたのもわからないほど、興奮していたことだし。

弥生の今後は心配いらないでしょう。旦那に死なれたことはお金では解決できないけど、少なくともヒデの遺産が入れば、母子二人で生活する上で経済的な心配はいらないだろうし。孫ができれば親だって折れるんじゃないかな。いや、堕ろせ! とうるさく言ってくるかな。

もう一回見たので追記(2009/03/17)

  1. 林宏美のことを書き漏らした。熱したガラスの通電性を調べる実験をしている時、「警察の協力もこれと同じですよ。何度もやっているうちに、それが当たり前になってしまうんです……」。とにかく、厭がられても、浮いてしまっても、捜査に時間を割くことをやめさせたいと願い、口うるさくしている栗林は、彼なりに湯川のことを考えているのだ。誰かが言わなければいけないんだから。
  2. 内海刑事が湯川先生の彼女ではないのか、と他のゼミ仲間に聞き、「ありえない」と口々に言われるも「えぇー、でもー」と抵抗するのは、第5話で内海に向って「あなた、先生と付き合っているんでしょ?」と言った谷口だった。だから、周囲の見る目が変わってきたわけではなく、この子一人がそう思い込んでいる、というだけなのかも知れない。