窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「怨み屋本舗」第9話「怨念のレベル」

出演(ゲスト)

  • 花澤香菜(青山美香、被害者)
  • 下條アトム(青山智彦、美香の父・依頼者)
  • 渡辺典子(青山映子、美香の母・もう一人の依頼者)
  • 堀部圭亮(長谷矢透、指示を間違えて美香を死に至らしめた医師)
  • 上田耕一(長谷矢稔、透の叔父で院長)
  • ノゾエ征爾(泉田医師、隠蔽工作に協力する)
  • 小野まりえ(中沢、罪をなすりつけられた看護婦)
  • 大橋未歩大橋未歩、NEWS24のアナウンサー)

感想

テーマはふたつ。ひとつは医療ミス。長谷矢透が間違った薬(筋弛緩剤)の投与を看護師に指示し、その結果青山美香が死んでしまう。長谷矢透がこのようなケースで患者を殺してしまうのはこれで4回目だ。が、透が甥になる院長は、看護師が医師の指示を間違えたとしてカルテを改竄し、警察にも患者の家族にもそう説明する。

ミスはあっては困るけどゼロにはできない。ゼロにはできないとしても、ゼロに少しでも近づけるべく出来る限りの努力をしているはず。長谷矢透の医師としての態度には問題があるが、彼個人の問題ではなく、病院の管理体制自体がかなりずさんな印象を受ける。が、まあ、その問題をえぐるのが本作の目的ではないのだろう。ここは透が悪いことにして話を進める。

プライベートな時間帯に病院から携帯にかかってた電話に出ないとか、その時はカノジョと痴戯に耽っていたとかいうのは、医療ミスとは別の問題と思うが、透はそういう、いい加減で無責任な医師だということを印象づけようとしているわけね。

娘を亡くしてしまったあと、母親は心を病んでしまう。美香の父親は透医師と院長の社会的な抹殺を望むが、その後、母親から、依頼の変更がある。透医師は自分に殺させてほしいというものだ。智彦は怨み屋に依頼する際、精神を病んだ妻は同席させず、「妻も同じ気持ちのはずです」というが、怨み屋は、そうではないだろうと確信していた様子。この、父親と母親で娘に対する気持に温度差があること――これがもうひとつのテーマ。これは意外で、かつ、斬新な目のつけどころだったように思う。

しかも、「自分は精神を病んでいると診断された。だから人を殺しても罪にならない」という映子は、ぞっとする凄味があった。渡辺典子が好演。「スカイハイ」にも出てきたが、今回の方がはるかに印象的。

里奈が寄木・野田につかまった際、「怨み屋本舗」の名刺を見られてしまう。ついに寄木・野田は怨み屋にたどりつくのか。続きが気になるが、最後の一巻が(借りられっぱなしで)ツタヤにない……

リンク