今年初めて観た映画なのだが、これで今年最高の一本を観たような気がした。
別段、アバターを見たい強い理由があったわけではなく、なんか売上げの最高記録を更新したらしいし、3Dってのもどんなのか興味あるから、ちょっと見てみようかな、という程度の気持ちで映画館に出かけたのだが、本当に面白かった。こういうことがあるから、「フラリと見る」というのも大事なんだ。
題名 | アバター(原題:Avatar) |
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監督・脚本 | ジェームズ・キャメロン |
出演 | サム・ワーシントン(ジェイク・サリー)、シガニー・ウィーバー(グレイス・オーガスティン博士、植物学者)、スティーヴン・ラング(マイルズ・クオリッチ、傭兵部隊隊長)、ゾーイ・サルダナ(ネイティリ)、ミシェル・ロドリゲス(トゥルーディ・チャコン、ジェイクに味方するパイロット)、ジョヴァンニ・リビシ(パーカー・セルフリッジ、RDA社の開発責任者)、ジョエル・デヴィッド・ムーア(ノーム・スペルマン、人類学者・アバターのドライバー)、他 |
公式サイト | 映画「アバター」オフィシャルサイト |
制作 | USA(2009年12月23日公開) |
「タイタニック」を観た時もそうだったけど、共通するのは、とにかく画面がきれいなこと、それからとにかく一瞬一瞬が飽きない。平均よりは長い話だが、その長さを感じさせない。あっという間に時間が経ってしまった感じ。
ストーリーは単純。
主人公のジェイクは、元海兵隊であり、RDA社の傭兵として雇われ、パンドラという星に送り込まれるところから始まる。
ここの環境は劣悪で、人間はマスクなしではものの数分で死ぬ。高等生物であるナヴィという原住民がいるが、要は未開の原人で、好戦的。そのほか、凶暴な野獣が多く生息し、かなり危険な星である。が、ここの地下鉱脈に眠るアンオブタニウムという鉱物はキロ20億円で売れるのだ。だから、それを入手するために大規模な投資がなされ、こうして軍隊と研究班がパンドラにきたのだ。
地球人とナヴィのDNAを掛け合わせてアバターを作り、特定の人間の意識と連結させてコントロールする。このアバターをナヴィの中に送り込み、彼らの情報を入手し、できれば外交的手段によって平和的に鉱物を入手したい……と考える人もいる。
物語の前半は、アバターになったジェイクが、パンドラの(時に過酷ではあるが)素晴らしい自然を満喫する様子が描かれる。特にストーリーはないが、飽きずに見続けさせられる。
ナヴィは自然と調和し、自然と共生して生きるもの。だから鉱物を掘りだすために村を棄て、自然を破壊することなど容認できない。つまり交渉は不可。そうわかった段階で、マイルズは軍事力を持ってナヴィを鎮圧し、鉱物を奪い取ることを実行する。そのやり方に反対するグレイス、トゥルーディなどごく一部の者は、離脱し、ナヴィとともに地球人と闘う決意を固める。ジェイクはナヴィのリーダーとなり、地球軍を迎え撃つ。
激しい戦闘の結果、地球人側の軍隊は全滅。ナヴィに味方した地球人も、ジェイク以外は全滅。ジェイクは完全にナヴィとなって生きることを決意する……と、まあ、粗筋を書いてしまうと、それで? と言いたくなるような(一見)陳腐な内容だが、前半でこれでもかと自然の美しさをたっぷり描き、その自然と調和・共生するナヴィを描き、彼らに感情移入しているところへ、マイルズらが突然それらを破壊しようと行動を起こすから、観客たる僕らはそれに反発したくなる仕掛けだ。
アメリカ軍がイラクで焼き払った家に住んでいた人達にも、生活があり、親しんだ自然があり、信仰する神があるだろう。それと同じことなのだが。
こういう映画を、イラクだとかアフガニスタンだとか、あるいはモンゴルその他のアジアの国ではなく、ハリウッドで作ってしまうというのが何とも皮肉だ。当初は、石油資源の利権が背後にあるイラクをモデルにした話かと思ったが、顔つきや化粧方法、自然と共生する文化などは、インディアン(ネイティブ・アメリカン)のことのような気がしてきた。この映画では、無茶な侵略を仕掛けた人間が痛い目に遭い、追い返される。が、史実ではネイティブ・アメリカンは追いつめられ、美しい自然と豊富な資源を持つアメリカ大陸は、奪い取られてしまった。こういう歴史を、アメリカ人は、自分の中でどう消化しているのだろう。
3Dについて
3Dはかなりチャチだったな。でも、席が悪かったせいかも知れない。ぜひもう一度観てみたいと思う。
調べてみると、3Dの方式にはRealD、XpanD、Dolby 3D、IMAX 3Dの4種類あり、今回僕が観たのは「RealD」。これらにはどうも次のような違いがあるらしい。
- RealD
- ワーナーマイカル系。メガネは軽い。しかも使い捨て。ルーズな姿勢でもゴーストが出にくい。画面は思ったほど暗くない。真ん中でないと見にくい。
- XpanD
- TOHO/109系。メガネは重くてかけ心地が悪い。ゴーストは少ない。画面は暗い。
- Dolby 3D
- 眼鏡は軽い。ゴーストがでにくい。画面は少し暗い。席の場所を選ばない。
- IMAX 3D
- メガネは軽い。姿勢を維持する必要がある。画面は明るい。立体感がある。「アバター」はIMAX 3Dの上映を前提に撮影されている。
IMAX 3Dが一番いいらしいが、上映館は首都圏だと109シネマズ川崎のみで、しかもレイトショーのみ。どうするかなあ……
リンク
- 『アバター』は3Dの方式を知ってから観ないともったいない(週刊アスキーPLUS、2010/01/07)
なぜIMAX 3Dに触れられていないのだろう?
- 『アバター』3D全方式完全制覇レビュー(It's a ...、2010/01/15)
とても参考になった。
- アバター(3D)(ネコとあくしゅ、2010/01/21)
なるほど、主人公が車椅子であることが伏線になっていたわけですね。
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Academy Award
第82回アカデミー賞において撮影賞、美術賞、視覚効果賞の3部門受賞。作品賞をはじめ9部門にノミネートされていたが、「ハート・ロッカー」が作品賞を含む6部門受賞で阻んだ。「ハート・ロッカー」の監督キャスリン・ビグローはジェームズ・キャメロンの元妻。
過去記事
- ターミネーター4(2009/07/03)