これまた今年最高の作品「インセプション」

観たいと思いつつ、タイミングが合わず、そうこうしているうちに上映が終了してしまう作品は常にあって、これもそうなりそうだった。が、ここで逃したら一生劇場で観ることはできないのだからと、多少無理して時間を捻出した。

観て良かった。本当に良かった。つい先日「ソルト」が今年の最高傑作だと書いたが、それはそれで正しいと思うのだが、これもまた今年の最高の一本に押したい。

こういう面白さは映画でしか味わえない。それもハリウッド映画でしか。約2時間半という長い映画だが、飽きたりだれたりすることなく最後まで目が離せない展開だった。複雑な構成だが、細かいところまで緻密に作られており、あとから振り返れば、なるほどと納得がいく。もっとも、一回観ただけでは細かいところまではわからない。こうした作品こそ、公式解説がほしいところだが、ウェブなどでそれをしてしまうと、作品を観る前に読む人が続出するため、難しいところだろう。

本年26本目(13作目)、洋画は7作目。ようやく洋画が邦画を上回った。

題名インセプション(原題:Inception)
監督クリストファー・ノーラン
出演レオナルド・ディカプリオ(コブ)、渡辺謙(サイトー)、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット(アーサー、コブの片腕)、マリオン・コティヤール(モル、コブの妻)、エレン・ペイジアリアドネ、教授の推薦で選ばれた学生、夢の設計士)、トム・ハーディ(イームス、偽装師)、ディリープ・ラオ(ユスフ、第一層の夢の中で自動車を運転していた人)、キリアン・マーフィー(ロバート・フィッシャー、大会社の跡取り息子)、他
公式サイトインセプション
制作USA(2010年7月23日日本公開)

雑感

コブは人の潜在意識に入り込んでアイデアを盗み取ることを生業としている。今回の依頼は、大企業の跡取り息子に会社を解体するような意識を「植え付ける」(インセプション)ことだった。

ここでのルールは、

  1. 夢の中では時間の進み方が1/20になる。夢の中でさらに夢を見ると(第二層)、さらに1/20になる(5分が1時間になる、という説明もあった。これだと1/12である)。映画では最終的に第五層まで落ちた。ここでは現実の5分が30年にもなる(もし1/12なら約2年5ヵ月になる)
  2. あらかじめ定められた刺激(キック)を与えられると目覚める(ひとつ上の階層に上がれる)
  3. 夢の中でも傷を負えば痛みを感じる。夢の中で死ねば目覚める(ひとつ上の階層に上がれる)が、強い鎮痛剤で眠っている場合は夢で死んでも目が覚めず、意識が虚無の世界に落ちる
  4. 眠っている時も内耳に対する刺激は生きている。上の階層で内耳に与えられた刺激は下の階層の夢にも影響する(激しい運転をする自動車の中で寝て見ている夢では重力の方向が一定しなかったりする)

といったところか。

「テキスト庵」などでも、今月に入ってインセプションの感想があちこちで書かれていたが、予備知識を得たくなかったから、一切無視してきた。ようやく読める。

忘却曲線」では「結局コブは自分の家に帰れたのか?」という疑問が提示されている。最後の場面になった時、「これは夢なのか、現実なのか」と確かに気になった。コブがトーテムである独楽を回し、それがずっと回っていて、これも夢なの? そりゃあないぜ……と思いかけたところ、ぐらりと大きく揺れたため、ほっとしたことを覚えている。あの揺れが暗示であり、「どちらとも解釈できる含みを持たせたシーン」ではないと思う。

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