ようやく面白くなってきた龍馬伝/龍馬伝-40「清風亭の対決」

雑感

前週から最終部である第4部が始まったが、ようやくまともになってきた。前回の「馬関の奇跡」は、先週書いたように……って書いていないや……ヒマラヤスギさんとこにコメントで走り書きしただけだった。

> 妙に龍馬を画面に出さないで、ひたすら第三者が龍馬を語り、それによって龍馬という人物を浮き上がらせるという手法のほうが、福山龍馬を画面に出すよりも効果的なんではないかと。

そうです初めからそういうドラマかと思っていたのにこれまではそうではなかったのですが、第4部になってやっとそこに来たかと。龍馬に対するコンプレックスが三菱を作った、という視点はとても面白いので、あと残り少ないですが、ぜひ第4部はその線で話を進めてもらいたいものです。

弥太郎が土佐の貿易業務を任されて長崎に来たところが、グラバーと会ってもお慶に会ってもお元までが龍馬、龍馬という。龍馬には直接会えなかったが、三人が語る龍馬像は、実物よりもはるかに強い存在感をもって弥太郎を打ちのめした。それは視聴者に対してもだ。こういう風に龍馬を描いていくことを当初から期待していたのだが、ようやくここへきて実現した。もっとも、ドラマの中では幼い頃から龍馬と弥太郎が交友があったように描かれていたけれど、実際に龍馬と弥太郎が接近するのはこの時から。そういう意味では、第三部までは壮大な序曲だったのかも知れない。

さて、今回は後藤象二郎坂本龍馬の歴史的な和解である。世にいう「清風亭会談」だ。とても面白かった。「龍馬伝」を初回からずっと見続けてきたが、初めて面白いと感じた。なぜ面白いと思ったかというと、象二郎と龍馬の駆け引きを実際にドラマの中で描いたからである。

これまで、加尾(広末涼子)との破局やら、佐那(貫地谷しほり)との別れやら、お登勢草刈民代)との出会いやらは細かく描く癖に、歴史的に最も重要な薩長同盟すら、その内容や薩摩・長州の交渉の過程はほとんど全く描かなかったのが「龍馬伝」だった。だから歴史の動きがさっぱりわからない。歴史の動きがわからないから龍馬の動きも心象もよくわからず、結局香川照之の一人ノリツッコミだけが目立つというのがこのドラマだったわけだ。

それが、今回は、象二郎ら土佐上士には龍馬らと仲良くなりたくない強い理由があり、龍馬らには象二郎らと手を組みたくない大きな理由がある、それらをどう駆け引きし、どう乗り越えたか。それを克明に描いた。だから面白いのだ。この時代は、よけいな話を作らなくても、史実を追いかけているだけで十分面白いのである。

象二郎も、昔はちっちぇえ人間だと思っていたが、出世するにつれてそれなりに頭と人を使うようになったな、と思わせてくれた。そして今回はかなり太っ腹なところを見せた。龍馬としては薩長連合に土佐24万石を加え、倒幕を確実なものとしたかっただろう。それにしても、亀山社中を土佐の組織に組み入れたいとの申し出に、「対等の関係なら」と答えた龍馬は、本来許しがたいものであったはず。それをあっさり呑むとは、彼も成長したのだ。

なお、史実では、弥太郎と龍馬が初めて顔を合わせたのはこの「清風亭会談」の時である。

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