三菱の創業者は死の商人だった/龍馬伝-43「船中八策」

雑感

僕は、龍馬が成し遂げたことの中で歴史的に最も価値があるのは船中八策だろうと思っている。幕府側はその威信を天下に示し、徳川の世が続くことを願い、薩長側はむろん徳川家を倒して自分たちが権力を手に入れることを狙っていたが、手にしたその権力で、日本国をどのように舵取りしていくか、そうした構想を具体的に持っていた人は、幕府にも薩長にもいなかったのではないか。

龍馬にとっては権力闘争はどうでもよくて、こういう世の中を作りたい、という気持ちが強かったんだろう。この八策がダイレクトにではないが、龍馬の死後も、明治政府の方針に受け継がれている。

ドラマで面白いと思ったのは、この八策を中岡慎太郎に語る際、ひとつひとつ、これは誰それに教わったもの、これは誰それに聞いたもの、と言い添え、自分が勝手に考えたものではなく、先行する人たちの智恵の結晶であることを明らかにした点だ。

しかし、相変わらず龍馬は大事な話をする時も人の目を見ない。あっちを向いて話す。今回は、話しながら階下に降りて水まで飲みだす始末。これでは言葉に全然説得力がない。残念な演出だ。

ラスト、弥太郎がグラバーに、銃や軍艦を仕入れることを示唆。龍馬は戦にはならないというが、戦は必ず起きる、自分はそれを利用してのし上がってやると宣言するところで終わる。この弥太郎の宣言はあまりにも正直で笑ってしまった。現在に至るも三菱といえば戦争の道具の製造・売買で利益を挙げている会社。言い方を変えれば、「死の商人」とか「黒い商人」などと呼ばれるビジネスである。もちろんそれは社会的に必要なことでもあって、軍艦を作っているから直ちに「死の商人」というのは三菱の人に失礼ではあるのだが……

弥太郎がグラバーに「銃を仕入れろ!」と言った時の顔は、その銃で何人の人が死ぬのか、もしかしたら自分の家族も巻き添えで死ぬかも知れないといったことは一切考えず、自分の儲けしか頭にない顔だった。これまでの弥太郎は、顔が汚いとか目立ちたがりだとか自分勝手だとか、欠点も多いが可愛げがあった。が、今回は違う。厭な感じの終わり方だった。

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