これは奥田英朗じゃない……「ガール」

観始めて30分で帰りたくなった。そういうわけにもいかないので、我慢してそのまま観ていたら、最後は少しほろりとした。

題名ガール
原作奥田英朗
脚本篠粼絵里子
監督深川栄洋
出演香里奈(滝川由紀子)、麻生久美子(武田聖子)、吉瀬美智子(小坂容子)、板谷由夏(平井孝子)、向井理(森本蒼太、由紀子の恋人)、檀れい(光山晴美、由紀子の同僚・営業)、加藤ローサ(安西博子、由紀子の取引先の担当者)、段田安則(マキマキ、安西の上司)、上地雄輔武田博樹、聖子の夫)、要潤(今井哲夫、聖子の部下)、波瑠(北村裕子、聖子の部下)、矢島健一(聖子の上司)、林遣都(和田慎太郎、容子の部下)、モロ師岡(容子の上司)、野間口徹(容子の合コンの相手)、椙杜翔馬(平井祐平、孝子の子)、他
公式サイト映画『ガール』大ヒット上映中!
制作日本(2012年5月26日公開)
劇場新百合ヶ丘:ワーナー・マイカル・シネマズ

感想

映画の宣伝を見た時、まさか奥田英朗の小説の映画化だとは露ほど思わず、そーゆー映画なんだと思って観るつもりはなかったのだが、原作が奥田英朗と知って俄然、観る気になった。確かに個々のエピソードはくだんの小説から持ってきている。しかし……テイストが全然違う。奥田英朗はこーゆー作品を書いたつもりはなかったんじゃないか。ま、香里奈のエピソードに関してはこーゆー話なのかも知れないが、他は全然違うと思うのだが。

こーゆー映画があってもいい。それは否定しない。しかし、それなら「奥田英朗原作」などと銘打つのはやめてもらいたい。原作を知らずに映画を観た人が、奥田英朗はこーゆー作品を書いたのかと思ってしまったら、悲しい。

それはそれとして。

観終わって、劇場を出る時に、ちょうど40〜50歳くらいの女性の二人連れが近くにいたのだが、
「面白かったね」
「うん、元気出たね」
と話していたのが聞き取れた。確かに。そういう側面はあると思う。映画としての価値が低いと言うつもりはない。

配役

役者はみんな頑張っていたが、特に麻生久美子檀れいのすごさには舌を巻いた。麻生久美子は「夕凪の街 桜の国」「モテキ」「宇宙兄弟」と観ているが、どの役とも違う。こんな性格も出せるのか。檀れいはさらにすごい。この人、待賢門院の璋子様ではないですか。取引先の部長を「マキマキ〜」なんて呼んじゃうようなくねくね営業レディの役が出来るとは。

香里奈も頑張ったが、相手役の向井理がよかった。向井理も「のだめカンタービレ」から始まって「ゲゲゲの女房」「新参者」「江」と見てきているが、今回が一番よかったのではないか。空気の読まなさでは天下一品。それに脳内完結の香里奈だから、二人の会話の噛み合わなさは一聴に値する。

上地雄輔が惜しい。もっと癒し系で、かつ、「物事をあまり深く考えず現実を素直に受け入れて行く」風がほしかった。松田龍平のように。ていうか松田龍平がやればよかったのに。

リンク

観ているのはほとんど女性で、場違いなところに来てしまった、という感覚をかなり強烈に感じました。

僕が観た時も周囲はほとんど女性だったように思う。確かに、このような作り方をしたら女性の観客が大部分になるのはわかるが、非常に違和感を持ったのは、恐らく原作の読者は過半が男性だろうと思うからだ。

いろいろな感じ方があるのですね。原作ファンの人が納得されているのは驚きです。

すごい評だが、おおむね当たっているようにも思う。こんな風に映画化したらこんな批判が出てくるのも仕方がない。つまり、これは映画作品にのみ当て嵌まるもので、原作には関係ない……と僕は思っている。そもそも原作は女性に向けた作品ではないし。

ちなみにやましたひでこ様、「年下の男性部下をうまく使えない聖子(麻生久美子)」というのは間違いです。要潤演じる今井哲夫は聖子の年上の設定である。年齢的にも、経験的にも、今井が課長になると思っていたところが、派閥のなんちゃらで聖子が今井の上司になっちゃったもんで、聖子もつらいし、今井も面白くないのである。僕も、年上の部下を持ったこともあれば、年下の上司を持ったこともあるから、この「やりにくさ」は実によくわかる。だからといって(映画の)聖子のやり方は支持しないけどね。