NHK大河第23話「叔父を斬る」

今回も神でした、と言いたいけど、「ええ?」というところもあったので、神に準じる回、ということにしておく。

粗筋

保元の乱の戦後処理その2。前回は主に貴族パートだったが、今回は源平パート。

信西は清盛に、忠正とその子は斬首だと告げる。清盛は取り乱し、「死罪という刑罰はない」「それほどの罪か」などと食い下がるが、信西は、厳罰を下さなければ世の乱れは収まらない、言うことを聞かないなら官位を召し上げる、と突っ撥ねる。

信西は義朝に、為義とその子(義朝の弟たち)を殺すように告げる。禄も官位もすべて返上するからそれだけは、と懇願するが、「戦場で会ったらたとえ父でも躊躇なく斬ると言ったのはお前だろう、まだ戦は終わっていない」と、これまたあっさり突っ撥ねられる。

死罪であることを知った忠正は、清盛に、わかった、お前が平氏の棟梁として自分の首を斬れ、と告げる。清盛が「朝廷の指示に従う気はありませぬ」と言うと、忠正は、「わしが何より恐れているのは、己が平氏の禍になることじゃ」と答える。

死罪であることを知った為義は、義朝に、わかった、源氏重代の「友切」(今は髭切)で自分を斬ってくれ、と頼む。義朝は由良をなぐりつける。「なぜ父上を連れ戻したりした。お前が余計なことをせなんだら、父上はご無事でお逃げになっていたかも知れんのだ!」

清三郎(清盛の三男)が、忠正に、作ると約束してくれた竹馬はできたかと尋ねる。忠正は「すまん、できなんだ。戻ってきたら作ってやる」と言って処刑場へ向かう。

由良は鬼武者に、義朝が為義を斬る事態になったことを告げ、その場に立ち会って父と祖父を見届けるように言う。

いざ処刑。清盛は刀を構えるものの、振り下ろすことができない。「斬れません……」

いざ処刑。義朝は髭切を構えるものの、振り下ろすことができない。「斬れません……」

忠正は叫ぶ。「清盛、斬れ! それでも平氏の棟梁か!!」

為義は言う。「義朝、斬ってくれ。わしの最後の頼みじゃ」

「斬れませぬ」「わしはこれから兄上に会いに行く。その時、やはり清盛は平氏の棟梁には相応しくなかったと言ってほしいか。あんな赤子を拾ってくるべきではなかったと、兄上に言ってほしいか。清盛、斬るんだ!」刀が一閃。ついに、身内をこの手にかけてしまったのだ。

「斬れません。斬れません!」と泣き叫ぶ義朝に、為義は、「もうよい、義朝、もう泣かずともよい」と優しく声をかける。その時、刀が一閃。義朝が見上げると、そこに立っていたのは鎌田正清。主の苦しい胸の内を理解し、自分が代わりを買って出たのだ。

忠正の子たちが言う。「私たちの首もはよう斬ってくださりませ。父上の姿があるうちに、一緒に旅立ちとうございます」清盛は涙ながらに子たちを斬る。

為義の子たちが言う。「父上の最後の頼みも聞けないとは、つくづく情けない兄上じゃ。そんな者の手にかかりたくない。正清、我らの首はお前が斬れ!」

斬首事件生々しい時に、清盛は後白河帝の主催する酒宴に呼ばれる。後白河帝はいう、「ここにおるは選ばれし者たち。どうじゃ播磨守、生きる力が湧いてこよう。ぞくぞくとしてこよう」

鬼武者は義朝にいう。早く元服がしたいと。早く大人になって、父上を助けたいと。こうして源頼朝が誕生した。

感想

ぞくぞくするシーンの連続で、観ているだけでものすごくエネルギーを消費する。

このドラマでは、複数の事件を対比するように描き、その違いを際立たせる、という手法を頻繁に用いてるが、今回はまるごと平氏と源氏をパラレルに描き、それが見事に嵌まったといえる。

死罪という宣告に驚き、反論するのは清盛も義朝も同じだが、清盛は「官位を剥奪するぞ」と言われて黙りこむ。一方義朝は、官位を返上すると申し出るが、戦の前に親も子もないと言ったのは自分だろうと言われてぐうの音も出ず。まあ、揚げ足取りにかけては信西の右に出るものはいないだろうが。

清三郎と頼朝は同い年のはず。頼朝に覚悟を強いた由良は立派だが、清三郎にも少なくとも事実は告げるべきだったと思うが……嫡男と三男の違いか?

いざ、斬る場面で、甘ちゃんの清盛は斬れないだろうな、と思っていた。一方義朝は、斬ると決めたらあっさり斬ると思ったが、なんと、最後まで斬れず。義朝の方が大甘ちゃんだったわけだが、考えてみれば、甘々なシーンはこれまでもたびたびあったので、予想外ではあったが、そうと言われてみると、それなりに納得ができるという、まさに制作陣の勝利の筋書きだ。

忠正と為義の態度も対照的である。豊原功補小日向文世の演技はまさに神であった。思い返すたびに涙が止まらないが、もう一度思い出したい人のために。

「ええ?」と感じたのは、後白河帝主催の酒宴のあと、清盛が信西をド突くこと。せっかく耐えがたきを耐え、叔父上を斬ることまでしたのに、こんなことをしたら、それこそ官位剥奪・領地没収されても文句は言えまい。それほどの罪ではないか? しかし、全くお咎めなし。これもおかしい。口論だけならまだしも……。このシーンにはちょっとがっかりで、全体の評価も下がってしまった。

あと、清盛・義朝が4〜5人の斬首を一人で取り行なうことになっていたようだけど、そんなことがあるのか。人一人斬るのは大変なこと。罪人一人に斬首担当が一人、ではないのかなあ。少なくとも、刀は、人を斬ると肉の脂がべったりつき、骨で刃こぼれすることもあって、切れ味が急速に悪くなるため、一本の刀で何人もを連続して斬るのは不可能なのだ。都度、刀を替えるか、せめて油を拭き取るぐらいのことはしてほしかった。

今日の後白河帝

酒を飲みつつ、女子が「遊びをせんよや……」と歌うのを眺めている。さあ、みんな楽しく遊ぼうぜ! というのだが、僕には何が楽しいのかさっぱりわからない。偉い人がずらりと並ぶ中、気を遣うばかりで楽しいわけがない、という話は置いておいて。こんな歌と踊りは面白いのかということだ。

今様というのは、平安時代中期から鎌倉時代にかけて宮廷で流行した歌謡のことで、神楽歌とか催馬楽とかの昔からある歌(古様)に対し、最新の流行歌というほどの意味だろう。となると、今でいえば、AKB48の生ステージを目の前で見ているようなものか。なるほど、それなら楽しいかも知れない。

今日の時忠

忠正への死罪の命に対し、平氏としてどう対応すべきか一族で詮議中。
忠清「今宵、密かにお逃がしいたしましょう。西国の縁者を頼ればいくらでも匿えるはず」
時忠「見つかれば一門が罪に問われまするぞ」
教盛「それより、信西入道に賂(まいない)を渡してはどうか」
時忠「それで考えを翻すお方とも思えませぬ」
教盛「ならば帝に直々に……」
時忠「それこそ不忠の極み」
重盛「叔父上、要らぬことばかり言わず、真面目にお考え下さりませ」
時忠「私はいたって真面目だが……」

緊張の連続の今回、唯一ちょっとだけゆるんだシーンだったか。

今日の鬼若(?)

先週は番組が終わったあと、由良姫が現代風のスーツなんか着て「恋愛検定」なんかやっていたわけだけど、今週は鬼若が、さっぱりした顔立ちで、やはりスーツを着ていた(「はつ恋」の番組宣伝があった)。鬼若は由良姫ほどまだ出番がないので、「おいおい」と突っ込んだ人はそう多くなかったかも知れないけど、余韻余情をNHKはいったいどう考えているのか。

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