アカデミー賞で話題になった作品。ちょうど公開中だったので観ることにした。
題名 | 世界にひとつのプレイブック(原題:Silver Linings Playbook) |
---|---|
監督 | デヴィッド・O・ラッセル |
出演 | ブラッドレイ・クーパー(パット・ソリータ)、ジェニファー・ローレンス(ティファニー)、ロバート・デ・ニーロ(パット・ソリータ・シニア、パットの父)、ジャッキー・ウィーヴァー(ドロレス・ソリータ、パットの母)、クリス・タッカー(ダニー)、他 |
公式サイト | 映画『世界にひとつのプレイブック』公式サイト || 大ヒット上映中! |
制作 | USA(2013年2月22日日本公開) |
劇場 | 新百合ヶ丘:ワーナー・マイカル・シネマズ |
粗筋
妻の浮気が原因で心を病んだパットは、仕事も妻も失い、入院。母の尽力で退院し、両親とともに療養生活を送る。そんなパットが友人の紹介で出会ったティファニーは、夫を亡くし、やはり心を病んでいた。社会復帰のために、二人はダンス・コンテストに出場を決意するが……
雑感
ほほう、なるほど。が第一声かな。これがオスカー8部門ノミネート作品ですか、と。
事前に概要を調べた時、コメディとあったので観る気になったのだが、全く笑う箇所がない。ハートウォーミングなドラマとして、それなりに引き込まれたし、最後は感動もした。カテゴライズがおかしい。少なくともコメディではない。
主人公のパットは心を病んでいる。さんざん奇矯な振る舞いに及ぶが、病気のせいだと思うととても笑えない。ティファニーも同様。パットが病院で知り合ったダニーもそうだ。パットの父親は普通の人間として暮らしているが、この人も相当おかしい。パットが病んだのは、妻の浮気がきっかけかも知れないが、遺伝か環境か……この父親の影響もあったのではないか。
そして常軌を逸した人間がこれだけ登場すると、笑えない上に少々気味が悪い。前半は見ているのがつらかった。
もっともダンスの練習に励む中で、ティファニーもパットも異常さが少しずつ消えていき、最後の方では普通の若者になっていたでほっとした。ラブストーリーだが、二人の成長譚でもある。
それにしてもカウンセラーの先生、パットの父が常軌を逸した賭け事をする場面に居合わせたのに、止めもせず静観するのは、自分の患者でないから? それともあの程度は正常の範囲内なの? 生活が破綻していないのが不思議なほどの、強度の依存症(博打に対する)で、明らかに治療が必要と思うが……
Academy Award
作品賞を含む8部門にノミネートされ、ローレンスが主演女優賞を受賞した。
日本語タイトル
原題のSilver Liningsは諺の「Every cloud has a silver lining.」からとったもので「希望」の意味だろう。Playbookは「計画」とか「筋書き」。誰でも必ず立ち直ることができる、そういう道がある、というような意味か。しかしそれを「世界にひとつのプレイブック」とは。「ひとつ」というのはどこにもないし、カタカナで「プレイブック」では意味がわからん。映画会社の人は、なぜ誰もおかしいと思わないのだろう。
リンク
日本で公開される前の時点での、町山智浩さんの解説(を文章にまとめたもの)。町山さんによれば、笑うより引いてしまう場面は確かにあるけれど、これは笑っていいのだそうだ。原題の理解は間違っていなかった。よかった。それにしてもアカデミー主演女優賞を当てた。すごい。「日本語タイトルどうなるか、ちょっとわかんないですけどね(笑)」など書いてあるが、まさかこんな邦題になるとはさすがの町山さんも思っていなかっただろう。