「新・午前10時の映画祭」Aグループ第二弾。1953年のアメリカ映画。オードリーのアメリカ映画デビュー作。白黒作品。
題名 | ローマの休日(原題:Roman Holiday) |
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監督 | ウィリアム・ワイラー |
出演 | オードリー・ヘプバーン(アン/アーニャ・スミス)、グレゴリー・ペック(ジョー・ブラッドレー、新聞記者)、エディ・アルバート(アーヴィング、カメラマン)、他 |
制作 | USA(1954年4月19日日本公開) |
劇場 | TOHOシネマズ六本木ヒルズ |
粗筋
王女アンはヨーロッパ各国を表敬訪問中だが、過密なスケジュールにヒステリーを起こす。が、周囲に理解者はおらず、医師も鎮痛剤を打つだけ。時代的に、過労とか心身症という概念が一般的でなかっただろうから、仕方のない側面もあるが。
ついに切れたアンは、こっそりと宿泊先を抜け出し、ローマの街へ出る。鎮痛剤の影響で道端に寝てしまったところにジョーが通りかかり、ほっておけず部屋へ連れて帰る。ところが翌朝、単なる酔っ払いと思っていた彼女が今話題のアン王女だと知り、お忍びで過ごすローマを密着取材し大金を得ようと、彼女のご機嫌を取って連れまわすが……
雑感
初めて見ましたオードリー・ヘプバーン。こんなに素敵な人だったとは(生きていれば84歳だが20年も前に亡くなられていたことも初めて知った)。ついでにグレゴリー・ペックも初めて見た。
アンを間に挟んでの、ジョーとアーヴィングのやりとりが笑える。事情を知らないアーヴィングに余計なことをしゃべらせないため、わざとワインをひっかけておきながら「こぼすなよ!」と怒鳴りつけ、アーヴィングが目を白黒させるくだりなどは本当にオカシイ。
アンの頭が悪くないところがいい。教養を身に付けているだけでなく、機転が利き、(悪)知恵も働く。伝統ある国家の王を継ぐ立場でありながら、庶民の生活も意外にご存知のようである。一銭も持たずに外へ出てきたのはいただけないが……
丸一日、身分を偽ってローマの街を堪能し、ジョーと過ごしたあと、自分の世界へ戻っていくところは泣かせる。「自分の立場をよくわきまえてください」と説教をする外交官たちに、詫びるでもなく、「わきまえているからこそ戻ってきたのです!」と毅然といい放つ場面は、しびれた。ジョーと過ごした一日は、彼女の一生を変えるほどの強い影響を与えたということだろう。
某所で、アンとジョーはヤッたのか、ヤッてないのか? という論争が繰り広げられていた。フィジカル面はどうでもいいんじゃないのかな。メンタル面で、ものすごく深く愛し、愛されたということが重要なのだ。
Academy Award
第26回(1953年度)のアカデミー賞において、主演女優賞、脚本(原案)賞、衣裳デザイン賞を受賞。作品賞、助演男優賞、監督賞、脚色賞、撮影賞、美術監督・装置賞、編集賞はノミネートされたが受賞はならず。
日本語タイトル
原題が「Roman Holiday」だったため、なるほどそのまんまなんだな、と思ったが、よくよく考えてみると「ローマの休日」なら「The Holiday in Rome」とでもなるところ。Romanは現代のローマ市を表す形容詞ではないから、直訳は「ローマ帝国の休日」もしくは「古代ローマ人の休日」である。
ローマ帝国の人々は奴隷を戦わせ、それを見物するという娯楽を享受した。そこから "Roman holiday" は「人の不幸を楽しむ」「人を苦しめて楽しむ」という意味になったという(イギリスの詩人Lord ByronことGeorge Gordon Noel Byronは "Childe Harold's Pilgrimage" という詩の中で、そのような意味に使った)。本作はこの意味が下敷きになっている、とするのが一般的のようである。
今日の英語
- It's a deal.(賭け成立)
- Tomorrow you'll be sorry.(後悔するぞ)←この意味でのsorryの使い方が苦手。
- I have to leave you now.(ここで(自動車から)降ります)
その他
「昼下りの情事」や「ティファニーで朝食を」、「シャレード」や「マイ・フェア・レディ」をぜひ観てみたい! 午前十時の映画祭が来年以降も継続されることを願ってやまない。
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