デジタル・リマスターで蘇るオードリー・ヘプバーン「パリの恋人」

題名パリの恋人(原題:Funny Face)
監督スタンリー・ドーネン
出演オードリー・ヘプバーン(ジョー)、フレッド・アステア(ディック、カメラマン)、ケイ・トンプソン(マギー、ファッション誌編集長)、ミシェル・オークレール(フロストル教授)、他
制作USA(1957年9月28日日本公開)
劇場新宿ピカデリー

内容紹介

著名なファッション誌の編集長・マギーは自己中心的な性格。グラビア撮影のために街にロケハンに出て、いい感じに古びた書店を見つけ、店の中での撮影を思いつく。そして許可も取らず勝手に撮影を始める。店主は留守で、店員のジョーは慌てて止めに入るが撮影の邪魔だとして店の外に追い出されてしまう。

撮影に同行したカメラマンのディックは、ジョーが磨けば光る玉だと見抜き、マギーに彼女をモデルに起用することを提案。ジョーは最初はモデルなどとんでもないと断わるが、モデルになったら撮影のために無料でパリに行かれるとディックから口説かれてその気になる。実はジョーは共感主義にかぶれており、パリに行けば共感主義の重鎮・フロストル教授に会えるかも知れないからだ……。

雑感

4月に「ローマの休日」を観た時、オードリーが実に可愛らしく、かつ凛々しく、一瞬でファンになった。話もよくできていて、なるほどこれは後世に残る名作であり名女優であると納得したのである。そして彼女の他の作品もぜひ観てみたいと思った。

その願いの一端が叶えられたことになるが、正直なところ、本作はあまり感心しなかった。

ひとつはストーリーに面白味がない。冒頭でのマギーの自分勝手な振る舞いの数々はユーモアを越えて不愉快である。が、パリに行った後のジョーは、初日からいきなり撮影をすっぽかしてカフェでひがな一日を過ごしたり、(モデルの仕事である)ファッションショーをサボって共感主義の集会に出たり、その身勝手な行為は目に余る。元々はマギーの迷惑行為に端を発したことであり、見事に「倍返し」されたことになるが、後味が悪い。

書店員として登場したジョーは確かに野暮ったかったが、これはのちにモデルになった時に「変身」するための布石かと思っていた。が、モデルになったあとも、衣裳はともかく化粧は変化がなく、とてもスーパーモデルには見えなかった。「ローマの休日」の時と比べても眉が異様に太く、とても可愛くは思えないのだが、この当時はこれが流行りだったのだろうか。

ミュージカルだったのは意外。オードリー初のミュージカルで、彼女の肉声の歌が鑑賞できる貴重な作品だそうだが。それより、オードリーの身体が実に柔らかく、踊りが見事で、それには感心した。バレエの素養があるのか?(調べてみると、15歳の時にはひとかどのバレリーナとして公演を行なっており、その後本格的にバレエを学んでオランダでも有数のバレリーナであったようだ。なるほど)

ローマの休日」の時には気づかなかったが、オードリーはかなり背が高い。調べてみると170cmある。今でもだけど、当時の女性としては相当に高かったのでは。相手役は大変だ。フレッド・アステアの身長は175cm。

フレッド・アステアをはじめ、みな踊りはすごかったけど、フレッド・アステアの踊りが、「アーティスト」のラストでジョージとペピーが躍った踊りにそっくりだった。あの踊りはこのあたりを意識してのことか?(それともそもそもタップダンスというのは大体こういうものなのか?) そういう点では興味深かった。

今日の英語

  1. "I'm not promising anymore."(「まだ決めないわよ」)
  2. "I'm model."(「(モデルを)続けるわ」)

英語タイトル

"Funny Face" が女性に対する褒め言葉として使われるようになったのは、この映画以降のことらしい。
(2013/10/04 記)

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