本当の黄金期はいつ?「ミッドナイト・イン・パリ」(DVD)

予備知識

昨年劇場で観た時は、知識があればもっと楽しめたのに、と思った。なので、少し調べてみた。1920年にギルが出会った人々。カッコ内は1920年時点の年齢(誕生日後)。

1890年に出会った人々。カッコ内は1890年の年齢。

  • アンリ・ド・トゥールーズロートレック(26):画家。フランス生まれ。子供の時に両足の大腿骨を骨折して発育が停止したため、胴体の発育は正常だったが、脚の大きさだけは子供のままの状態だった。1882年にパリに出る。
  • ポール・ゴーギャン(42):画家。フランス生まれ。
  • エドガー・ドガ(56):画家。フランス生まれ。

19世紀末から第一次世界大戦勃発(1914)までのパリが繁栄した華やかな時代は「ベル・エポック(良き時代)」と呼ばれる。19世紀の中ごろは普仏戦争に敗れ、不安定な政治体制が続いたが、産業革命が進み、都市の消費文化が栄えるようになった。伝説のレストラン、マキシムは1893年オープン。ベル・エポックに咲いた大輪の花としてその名をとどろかせた。これに対して1920年代を「レ・ザネ・フォル(狂乱の時代)」と呼ぶ。

映画雑感

  • 一年前に劇場で観た時は傑作だと思ったが、自宅のテレビで見ると、詰まらなくはないけれど、正直、さほど面白いものだとは思えなかった。こういうことがあるから、劇場で観られる時は劇場で観ないとダメなのだ。また、劇場で観たことのない人の映画評を信用しないゆえんでもある。
  • 冒頭で現在のパリの風景をじっくりと映したのはのちの布石ですね。
  • それにしてもポールは(キャロルも)嫌な奴だ。異国の地で古い友人にばったり会って嬉しいのはわかるが、相手は結婚を控え、両親や婚約者と一緒に来ているのだ。食事を一回くらい一緒にというならまだしも、連日連夜付き合わせるのは正気の沙汰ではない。ポールもキャロルもギルとは面識がないのだ。ギルが嫌がるのは当たり前で、それを「社交的じゃない」などと非難するイネスもどうかしている。両親も、それを叱るどころかギルに尾行をつけるのだから、「この親にして」といったところか。
  • 以前の感想にも書いたが、ギルは「注文がひっきりなしにくる」(イネス)人気脚本家。イネスの父は会社を経営しており、母は100万円以上もする家具を簡単に買ってしまうほど裕福で、ギルに対して「収入はまあまあだが……」と気に入らない態度を示すが、逆にいえば、それでも「まあまあ」だと言われるほどの収入を得ているということである。それほどの人気脚本家に対し、周囲(イネスとその家族、キャロル、ポール)が全くうらやましがる様子を見せないのも妙である。そこいらの大学の講師(ポールのこと)にコンプレックスを持つ必要がない、立派な文化人の一人であると思うのだが。
  • イネスらにはもう少しガツンと言い返してやれば良かったとは思うが、別れて正解。
  • 1920年代のパリについては、ちょっと調べただけでもずいぶんいろいろなことがわかった。若き芸術家が多くパリに集まっていたことも。ただし厳密には彼らがパリにいた日は一致していないようである。
  • ギルがタイムスリップして向かった1920年代の日は、時間の進み方が早いような気がしていた。たとえばスタインのサロンは毎週土曜日に開かれていたようだが、ギルは毎晩通っている。こちら(2010年)での一日が向こうでは一週間だったのかも知れない。時間帯も、深夜0時を過ぎてからタイムスリップが起きるが、着いた時刻は0時ではなくもっと早い時間帯な気がする。そのあたりは深く追求するなということか。
  • 結論はありきたりだけど、アドリアナ、イネスという美女と別れ、フランス生まれで(今の)パリを愛するガブリエルと付き合うことが示唆されて終わるのはいい終わり方だった。

配役