窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

会津から見た幕末史

徳川慶喜を主人公にした大河ドラマはあった(1998年)が、松平容保はない。一度くらい大河の主人公になっていてもおかしくない人物と思うが、そもそも会津の側から描いた幕末ドラマ自体が珍しいのだろう。明治以降の政権は薩長政権だし、薩長に滅ぼされた会津が美化されるのは望ましくないという判断が働いたのかも知れない。そういう意味では、今年も「また幕末」ではあるのだが、斬新な企画といえるかも知れない。

初の「会津から見た幕末」を描くなら、主役は松平容保だろう。新島八重なんて、少なくとも僕は今年大河ドラマになるまで全く名前を知らなかった。そういう人は僕だけではないはずだ(もっとも、ちょっと調べてみると、山本覚馬は俊英で、ある意味坂本龍馬などよりずっと優れていたとも言えるのだが、名前が埋もれてしまっているのは会津出身の故か)。

ただ、容保を主人公にすると、会津戦争で話が終わってしまう。思い切りドラマチックに描けようが、悲劇のままで終わる。泣ける話にはなっても未来がない。八重は会津戦争でも活躍したが、明治の時代を生きて名を遺した。むしろ会津戦争での活躍は要は人を殺したということだが(戦争で活躍するというのはそういうことだ)、同志社大学の設立に協力し、日清・日露では従軍看護婦として多くの人の命を救った。そういう人が主人公の方が、未来があってよい。そういう意味では、八重を主人公にしたのは慧眼だった。

そうであれば、会津戦争もあまり綿密に描かずさっさと通り過ぎて、その後をじっくりと描いてほしいと思う。が、恐らく明治の世になった途端に視聴率は落ちるだろう。日清日露でさらに落ちるだろう。ドラマの完成度を考えるか、視聴率を気にして会津戦争を延々と引っ張るか。昨年を踏まえた制作スタッフの差配が見物だ。