窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

これぞハリウッド映画。「アフター・アース」

題名アフター・アース(原題:After Earth)
監督M・ナイト・シャマラン
原案ウィル・スミス
出演ジェイデン・スミス(キタイ・レイジ、レンジャー候補生)、ウィル・スミス(サイファ・レイジ、キタイの父・レンジャー総司令官)、ソフィー・オコネドー(ファイア・レイジ、キタイの母)、ゾーイ・イザベラ・クラヴィッツ(センシ・レイジ、キタイの姉)、他
公式サイトアフター・アース - オフィシャルサイト
制作USA、UK(2013年6月21日日本公開)
劇場新百合ヶ丘:ワーナー・マイカル・シネマズ

粗筋

チキンだったキタイが極限状況で大きく成長し、立派なレンジャーになる成長譚。

勇敢なレンジャーであるサイファが、キタイを連れて惑星間移動中に事故に遭い危険な星に不時着。乗組員は二人を残して全員死亡、サイファも重傷を負う。二人が助かる道はただひとつ、100km先に落ちた通信機を確保し救助信号を打つことだが、危険な動物が多数生息しているこの星で、キタイは一人で100km先まで移動できるのか……?

雑感

面白かった。複雑な伏線もなく、ストーリーは一本でわかりやすい。話の1/3ぐらいでラストは予想でき、その予想は裏切られないが、だからといって退屈というわけではなく、ずっと引き込まれた。

かつての地球人が地球を脱出して他の星へ移住したとか、1000年後の地球が危険な星になっていたとかいう設定は、危機的な環境を作り出すための単なる設定で、あまり意味はない。説明もごく簡単になされるだけ。正直、設定に無理もあると思ったが、そこはあまり突っ込むところではない。

冒頭で示されるキタイのチキンっぷりはイライラするほどだが、何しろまだ子供だ。致し方ないところだろう(キタイのトラウマとか、親子の葛藤とかも触れられていたが、それもあまり深読みする必要はないと思う)。その危険な地が地球かどうかもどうでもよくて、とにかくデインジャラスなエリアを駆け抜けなければならない。

この地の(危険だけれども)自然の景観の美しさは「アバター」のよい後継だと思う。そして次々と襲ってくる難敵とキタイの対決はアクションものの醍醐味がたっぷり。最後は無事通信機を手にするのだろうとわかっていても、救助信号を打ち上げた時の爽快感も格別。

このシンプルな物語を支える重要な要素に、ウィル・スミスの演技がある。重傷を負い、刻一刻と意識を失っていく。自分の身体も心配だが、一人荒野に放った息子も心配。息子との通信中は、自分が重態であることをできるだけ悟らせないようにし、励まし、指示を出し、叱咤する。が、徐々に限界に達し……と、だんだん弱っていく演技が見事だった。これがあったから、お約束の予定調和的な物語もきちんと楽しむことができたのだと思う。

冒頭で、サイファに命を救われたという片足の人が、車椅子から無理に立ち上がり、敬礼するシーンがある。当初は、キタイに、父親はこんなにも皆から尊敬され感謝される存在なんだと示すためのシーンと思ったが、最後に命の危機を脱したサイファが、無理にベッドから起き上がり、キタイに敬礼するシーンは震えた。

今日の英語

  1. "Do you know where we are?" "No, sir." "This is Earth."(「ここがどこかわかるか?」「いいえ」「地球だ」)
  2. Danger is very real. But fear is a choice.(危険は目の前にあるが、恐怖はお前の中にある)

この日本語訳は予告編から。本編の字幕はまた別だったと思う。この作品の肝になるセリフなのに、訳がイマイチで残念(とはいえ、僕もいい訳を思いつかないけど)。