窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

NHK大河第32回「兄の見取り図」

出演

粗筋

覚馬の家に住むことになった佐久、八重、みねらだが、朝目覚めると既に朝食の支度は整っている。時栄の家事はそつがなく、手を出す隙がない。「さあ、全員で朝ごはんだ」というとみねが「全員でねえ」といって納屋に籠ってしまう。もちろん、うらがいないことを指しているのである。駆け付けようとする八重に、「家のことは時栄に任せろ」と言い放つ覚馬。みねを躾けるのは自分の役目、姉様とそう約束したと言い張る八重だが、覚馬は意に介さない。

覚馬は八重に万国公法を読ませ、槇村正直に会わせ、西郷隆盛に会わせ、金戒光明寺会津本陣があった場所)を訪れる。そして京の町の復興が自分の目標だ、力を貸してくれと八重に頼む。そのための武器が学問なのだと。八重はうなずき、女紅場(にょこうば・日本最初の女学校)に行くことを承知する。

明治5年、岩倉使節団が渡米。通訳を務めるのは新島襄。条約改正の交渉が重要な目的だが、天皇の委任状を持ってこないというドジを踏み、国務長官には会ってももらえない。

捨松登場。薩長の金で留学することに躊躇する捨松に襄は言う。

「いいじゃありませんか、誰の金でも。むしろ大いに利用して、金を使ってやればいい。あなたの学問のために、うまい料理をたらふく食うために。捨松、あなたの前には、長州も薩摩も関わりのない、広くて豊かな世界が広がってるんです」

雑感

「兄の見取り図」とは、さすがに姑に小姑までいたら時栄が大変だから、小姑を追い出す作戦か、という冗談はさて措き。

うらをあんな目に遭わせたのに、みねや八重たちに何のフォローもなく、偉そうに振る舞う覚馬の態度にも、覚馬を(本気で)責めない家族にも、賛否両論であろうが……

佐久の立場では、何も問題ないのだと思う。死んだと思っていた長男は生きているし、孫は増えるし、若い嫁は気立てもいいし、覚馬は新しい世でも出世しそうだし、おかげでいい暮らしができそうだし。いいことずくめでしょう。まあうらには気の毒なことしちゃったなーとは思っても、話を聞いてみれば時栄は、目が見えない足が利かない覚馬を献身的に支えてくれたわけだし、手がついちゃうのはしょうがないですね。

八重は若い分もう少し純粋だろうし、尚之助に離縁状をつきつけられたばかりという、似た立場から覚馬に怒りを爆発させたけど、もともと大変なブラコンだから、基本はあんつぁま寄り。これからは学問がお前の武器だと言われて簡単に丸め込まれちゃうわけだ。

元々八重の怒りは、女手で必死に家を守り、みねを育ててきたのに、その間にあんつぁまは女を作り子まで作っていたという、そのためうらはみねと別れ、身を引いてしまったということに対するものだったが、途中から、薩長の連中と親しげに付き合っていることに対する怒りに変わってしまった。後者を説明するのはある意味簡単である。本当は後者の怒りが解けても前者の怒りは残っているのだが、怒りが一体化してしまったためか、後者の怒りが解けた時に前者の話もうやむやになってしまった観がある。

あの家族の中で、本当の意味でうらの見方はみねだけ。そのみねがまだ幼く、言いたいことが言えないのが切ない。そして、聡明なみねは悟ってしまう。自分が生きていくためには、とにかくこの家で暮らすほかはないし、この家で暮らす以上、覚馬や時栄を憎んではいられないのだと。

みねがもう少し成長した時に、母様のことをどうするつもりなのか、覚馬に詰め寄る時がくるのだろうか。うらは会津に戻ったところで食うや食わずの生活が待っているだけであり、住むところがあるかどうかも怪しいわけで、覚馬が俸禄を得ているならせめて仕送りくらいすべきだと思うが、そのあたりはどうなったのであろうか。うらは前回で退場だと思うが、うらが救われるエピソードがひとつほしかったところだ。

みねの持っていた櫛が、自分がうらにやったものだと気づき、それをうらの髪にさしてやり、それを見た佐久が「これで全員そろったな」で終わりでは、今頃苦労しているであろううらは納得しないだろう。

うらに対する配慮は欠けているが、時栄に対してはいいところを見せた。八重らに対して「家のことは時栄に任せろ」とぴしゃりと言ったことだ。あれは佐久にも聞こえるように言ったんだろう。時栄にしてみたら、姑に小姑、正妻の娘までやってきて、たいへんな気苦労を抱えることになったわけで、この上姑や小姑が家のことに口を出し始めたら行き場がない。この覚馬の一言で時栄の権限は守られたし、覚馬に対する信頼感も高まったはずだ。同じような配慮を、うらに対してもしてほしかったところだが。

ジョーが捨松に語った言葉は、捨松だけでなく、八重をはじめとする全会津人、そしてテレビを見て感情移入していた視聴者に対する鎮魂歌なんだな。私たちの前には、長州も薩摩も関わりのない、広くて豊かな世界が広がっているのだ。

次回予告

尚之助さまクランクアップです。八重とまさかの再会シーンがあるようです。

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