窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

NHK大河第45回「不義の噂」

出演

粗筋

同志社女学校からアメリカンボードが手を引くことになり、廃校の危機。八重は、宣教師たちに頼らない学校作りのためのチャンス! と、商工会議所の会員に寄付を募り、授業参観を行なうなど、新たな道を模索する。

ジョーが巨額の資金援助を得て帰国。

時栄と青木の仲が「良すぎる」と久栄が反発。別れ際に青木が時栄の手を握ったと。時栄は否定するが、青木は覚馬に「時栄さんは女中ではない」と談判に行く。

こんなことに気を取られているようでは、学問はものにならない、青木は会津へ返すという覚馬に、時栄は、学問は続けさせてやってほしいと頼み込む。それで大阪の学校へ転校させるが、青木は「時栄さんが忘れられない」と勝手に訪ねてきてしまう。「いけません」と拒否する時栄だが、「なんだよ、もともとはあんたが誘ってきたんじゃないか」などと言い放ち、硬直する時栄を抱きしめる。それを目撃した人から噂が広まり、覚馬の立場だけでなくジョーにまで飛び火することになる。

当初は「気にすることはねえ」と時栄をかばっていた八重だが、時栄は八重に「私は罪深い女どす……。いくら一緒に暮らしていても、旦那様の心の中にはうら様がいる。旦那様の中のうら様は年をとらない。いつまでも若くてきれいなおなごのままや。でもうちは違う。生身の人間や。だから言い寄られたら……。抱きすくめられたら……」と告白。それを聞いて、当初は心無い噂だと思っていたのが、本当に不義がなされたことを知った八重は怒り心頭。「この家を出て行ってくなんしょ!」と切り捨てる。

覚馬は商工会議所の会長を辞任し、一緒にやり直そうとするが、事の重大さを知った時栄は「離縁してください」と頼む。

雑感

先週の感想で「河ではなくて池」だとするつぶやきを取り上げたが、今回はその典型。第45回だけを取っていえば、それなりにまとまりのある話に収まっていたとは思う。しかし、ここ数回、覚馬が八重や、ジョーや、他の仲間たちと話をしているのを、ふと寂しそうに見ていた時栄の心境と、今回の不倫と全く結びつかない。旦那様の心の中にはうら様がいるって? 今までそんな素振りを一度でも見せたことがあったか?

覚馬は進歩的な考えの持ち主で、女子にも教育をと主張したり、八重にも自由闊達に過ごさせたりする一方、うらや時栄など、自分の妻には女中として働かせ、忍従を強いた。この矛盾は一筋縄では解決しないが、時栄の「寂しさ」はここにあったのではないか。というか、そういうことにした方がこのドラマ的には良かったのではないか。前回か、前々回か、久栄が時栄に、八重おばさんは家の用事を全然手伝ってくれない、と愚痴る場面があったが、そこともリンクするのではないか。

そもそも時栄の不倫は、小説に描かれて半ば定説と化してしまったが、裏付ける史料はなく、史実かどうか怪しい話。もうあと5回で終わるというのに、こんなことに一話費やす意味があったのかどうか。なんともため息の出る回だった。