窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

若山耀人クンの演技に泣かされた/「軍師官兵衛」第12話「人質松寿丸」

出演

粗筋

松永久秀の裏切りもあり、信長は播磨の小寺、赤松、別所らに、味方するなら人質を差し出すよう要求。赤松・別所は従ったが、一粒種の斎(いつき)を可愛がる小寺政職は人質を渋る。人質を出さねば織田の軍勢が加勢に来ないのみならず、小寺家自体が敵と見做されかねない。苦境に立たされた官兵衛は、一人息子の松寿丸を人質として織田に差し出すことにした……

雑感

これまで11回を見てきて、別段何が悪いというほどのことはないが、ここが良かったというほどのものもなく、淡々と眺めてきた。言ってみれば延々と粗筋を述べられているようで、盛り上がりに欠ける点は不満に思わなくもなかったが、感動させられ過ぎても緊張感を強いられ疲れるので、こういう年があってもいいのではないかと思って見ていた。

が、今回は、今年初めて泣かされた。泣かされたのは若山耀人クンの演技だ。苦境に立たされた父、人質に反対する母の姿を見た松寿丸が、自ら人質を志願するシーンである。

この大河ドラマには、多くの実績ある、あるいは才能のある名俳優が大勢登場している。しかし、今回の若山クンは、「軍師官兵衛」に登場した、どの役者のどの演技よりも素晴らしかった。つまりはっきり言って、柴田恭兵よりも、中谷美紀よりも、岡田准一よりも上だったということだ。子役にしては、というレベルではないよ。

同時に、脚本がどうとか、演出がどうとか、いろいろ役者がその力を必ずしも発揮できない要因はあるのだろうが、役者が魂を込めて言を発すれば人の心を打つのだということを改めて実感した。若山耀人は、官兵衛の幼少期を演じて評判が良かったから長政の少年期も演じることになったと推察するが、彼の起用は大正解である。ダレたドラマを彼一人が喝を入れてくれた感じだ。

さて、内容に関する若干の疑問。織田に同盟を申し入れた時から、既に二年が経過している。いまだに人質を差し出していなかったのかよ! 同盟って口約束だけかよ! と驚くと同時に、この二年間、毛利は一体何をやっていたのだ!? 強国に挟まれた小さな国が、二年間も何事もなく暮らしていかれるほど呑気な時代だったのだろうか……