窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

喰わず嫌いはいけない!「アナと雪の女王」

元々アニメにはあまり興味がなく、3Dアニメは一度も観たことがなかったのだが、喰わず嫌いはいけない。これほど面白く、素晴らしい作品だったとは。もう一度観るぞ。

題名アナと雪の女王(日本語)(Frozen)
監督クリス・バックジェニファー・リー
出演松たか子(エルサ)、神田沙也加(アナ)、ピエール瀧(オラフ、雪だるま)、津田英佑(ハンス・サザンアイル)、原慎一郎(クリストフ、山男)、佐々木りお(エルサ、幼少期)、稲葉菜月(アナ、幼少期)、小林柚葉(エルサ、少女期)、諸星すみれ(アナ、少女期)、他
公式サイトアナと雪の女王 | ディズニー映画
制作USA(2014年3月14日公開)
時間102分
劇場TOHOシネマズ 川崎

ストーリーについて

思っていたのとは全く違った。わかりやすい、シンプルなストーリーではあるが、こんなにも心暖まる話だったとは。そう、予告編では氷と吹雪ばかり映るけど、これは暖かい話なのである。

話を魅力的にしているのはエルサ、アナというダブルヒロインの性格設定だ。アナは単純で、直情径行で、ちょっと天然で、でも姉思いなところがもうキュートで可愛くて、きゅんきゅん! ときてしまう。エルザは対照的にクールビューティとでもいうか。一見正反対に見える二人だが、しかしエルザも相当天然だし(要は、いい歳になるまでお城の外に一歩も出なければ、世間知らずにもなるだろう)、こうと思い込んだら頑固で人の意見を聞かないところはそっくりだ(若くして両親を亡くし、その後は厳しく叱ってくれる人がいなかったのだろう)。

音楽について

大事な大事な音楽について触れておく。

この一ヶ月ぐらい、劇場の予告編をはじめ、あちこち「Let It Go」が流れている。YouTubeの再生数も猛烈に伸びているようだ。実を言うと、日本版は松たか子だと知った時「なんで?」と思った。松たか子は役者としては超一流だ。歌手とても長く活動を続けていて紅白歌合戦に歌手として出場したことがあるのも知っている。しかし、率直に言って、歌がそれほどうまいとは思っていないからだ。Idina Menzelの歌がとてもいいだけに、専門の歌手を起用する手はなかったのかと。ミュージカルだから、歌だけではダメで、歌と演技と双方ができる人という点で松たか子になったのだろうけど。

劇場で観て、松たか子を過小評価していたことを大いに反省した。「Let It Go」だけでなく、何曲も歌っているわけだが、どれも実にうまいのである。神田沙也加とハモるシーンなども堂に入ったもので、これは見事な起用だと感心し、かつ、感動した。ミュージカルは歌が下手だと話にならないが、歌がうまければぐっと感情移入もできようというものだ。*1

さらに、神田沙也加が信じられないくらいうまい。ネットで「Kristen Bellよりうまい」という声を聞いたが、Kristen Bellの歌はまだ聞いていないのでコメントはできないが、そういう評価がでてくるのもおかしくないくらい、うまい。声に表情がついているし、セリフとうまく噛み合っているところもすごい。

神田沙也加の歌をまともに聞くのはこれが初めて。何年か前には、親の七光りで歌手としてデビューしたもののパッとせず、ろくなヒットもない。ミュージカルなどで細々と仕事をしている……というような記事を鵜呑みにしていただけだ。こんな才能が育っていたとは。彼女はまさにミュージカル向けの人だと言うべきだろう。

今度は英語版を観て比べてみたい。そして、いいと思った方をもう一度。最低三回は観たいな。

日本語タイトル

アナと雪の女王」と「Frozen」では全然違うような……許容範囲なような……。ちなみにベースとなったアンデルセンの「雪の女王」の英語タイトルは「The Snow Queen」。

日本語キャッチ

「運命に引き裂かれた姉妹を主人公に、凍った世界を救う“真実の愛”を描いた感動のストーリー」……またしても「感動」の押しつけだ。「感動」という言葉の意味を知らないんじゃないか?

*1:ところで、エンドロールで再び「Let It Go」が流れるが、こちらは(正真正銘の歌手である)May J.が歌っている。それで……こうして聞き比べてしまうと、やはり松たか子は専門の歌手ではないな、と感じてしまう。後半の「これでいいの 自分を信じて」のところなど、「自分んーーを信んーーじて」と「ん」で歌う部分がある。こういう(難易度の高い)フレーズは、はっきりとした差がついてしまうようだ。サビで盛り上がるところの声量も違うし。ここまできたなら、ラストも松に歌わせればいいのに、と思う。まるで松たか子への嫌がらせみたいだ。