窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

どこにいっちゃうの?「ルーシー」

観客の予測を裏切るのはエンターテイメント作品の使命、というなら、この結末を予想できた人はいなかったはずだ。

題名LUCY/ルーシー(LUCY)
監督・脚本リュック・ベッソン
出演スカーレット・ヨハンソン(ルーシー)、モーガン・フリーマン(ノーマン博士)、アムール・ワケド(刑事)、チェ・ミンシク(韓国マフィアのボス)、他
公式サイト映画『LUCY/ルーシー』大ヒット上映中
制作USA(2014年8月29日日本公開)
時間89分
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜

内容

人間の脳は通常は10%しか使われていない。不幸ないきさつでマフィアの運び屋を押し付けられたルーシーは、体内に薬物の袋を埋め込まれたが、その袋が破れ、大量のCPH4を摂取してしまう。これによって脳が覚醒していくのだが……

雑感(ちょっとネタバレあり)

キャッチが「人類の脳は10%しか機能していない」だったので、普段使われていない脳の機能がフルに使われてチョー頭のよくなった主人公がバッタバッタと事件を解決していくような話かと思っていた。イメージとしては「万能鑑定士Q」+アクションみたいな。いくらなんでも人間がそんなことわからんだろうということも一瞬でわかっちゃう、みたいな。宣伝チラシには「脳が××%覚醒すると1時間で外国語がマスターできる」みたいなのもあって、そういえば万能鑑定士でも一晩でフランス語をマスターする話があったなーとか思っていた。

まあ、アクションについてはまんざら的外れでもなかった。ナイフ、銃撃戦、カーチェイス、みんなでてきたから。でもねー。

導入で、ただの留学生だったはずのルーシーが否応なく運び屋に仕立てられマフィアの手に転がり込まされるところは極上のサスペンスだった。10日前に知り合ったボーイフレンドから、アタッシュケースをある人に届けてくれと言われる。俺が頼まれたんだけど、ちょっと気まずくて会いたくないんだ。代わりに渡してくれればそれでいいから。何も問題ないと言われるんだけど、ヤバイ匂いを感じるからこそ彼は自分では行かない(行けない)わけだよね。

報酬を出すからと言われ、ちょっと考えるものの、やっぱりやめとくわ〜と気軽に答えて帰ろうとすると、突然手錠を嵌められてしまう。この手錠は届け先の相手しか外せない、荷物を渡して外してもらえと。この時、相当にヤバイことに巻き込まれたことがわかってぞっとする(ルーシーも、観客も)。あとから思えば、この時点で警察でも何処でも駆け込めばよかったのだが、さっさと用を済ませてさっさと解放されたい、まさか命まで取られることはないだろうと思ったか、届け先の人に会うことにする。

ところが出てきた相手は想像以上にヤバそうな雰囲気。実はルーシーに運び屋を押し付けた彼もこっそり様子を窺っていたのだけど、目ざとく彼の存在を見つけた相手は、あっさりと射殺! ここで恐怖が一気に高まる。このあとも相手方(韓国マフィア)とルーシーのやりとりは恐怖の連続で、あれ? こんな話だったの? と思いつつも、スカーレット・ヨハンソンの怯えてガタガタ震えるシーンや逆切れして叫ぶシーンなど見所満載。ここは一気に引き込まれた。

気絶している間に体内に薬物が埋め込まれてしまう。目的地についたら取り出してもらえると。今の技術なら傷跡はすぐに消える。水着もちゃんと着られるようになると嘯(うそぶ)かれるが、目的物を取り出したあと、臓器を傷つけずに復元してもらえるのか、そもそも縫い合わせてもらえるのかどうかだって怪しいもんだ。彼らにとって、薬物が手に入ればルーシーの命なんてどうでもいいんだろうから。このあたりは恐怖のピークだった。

さて、運び屋として送り出されたあと、すぐに目的地へ向かうのかと思いきや、別口のチンピラに拉致され、レイプされそうになる。が、頑なに拒否したところ、逆上したチンピラに激しく腹を蹴られ、そのため薬物の袋が破れ、体内に溶けだしてしまう。

ここは不思議なのだが、マフィアにとってルーシーの命はともかく薬物は非常に大切なはずなのに、ルーシーが裏切らずに役目を果たすかどうかの監視も含め、護衛が何もついていなかったのか? このチンピラがマフィアと別口なら間抜けな話だ。でも、どうもマフィアの下っ端という雰囲気である。だとしたら、この大事な大事な任務を帯びているルーシーをレイプしようなんて、とんでもない奴らだが、指示が末端に行き届いていないなんて、別の意味で間抜けな組織である。まあ、このマフィアは結構間抜けな組織であると、その後わかってくるのだか……

とまあ、冒頭からいちゃもんをつける形になったが、なんでこんな些細な話にこだわるかというと、感想を書けるのがここまでだからだ。ここから先の展開は、「はれ?」というか「ふへ?」というか、想像の斜め上をいく展開ばかりで、いいも悪いもわからない。批判のしようもなく、感想も全く出てこないものだからだ。

よく見に行くブログ主の感想を読むと、それぞれに面白い。「子持ちししゃもといっしょ」のitottoさんは書くことがないといともあっさり。これには大変共感するけれど、何も書かないと自分でも思い出せなくなってしまうから自分はちょっと詳しく書いた。一方「ブログデンティティー」のBLRPNさんは、いろいろ疑問を感じつつもていねいにレビューしている。BLRPNさんの言うように、覚醒した能力(脳力?)でもってマフィアをバンバンやっつけるバイオレンスものだったら、その方がシンプルで面白かった気がする。下記にリンクしてあるのでご参考まで。

配役

スカーレット・ヨハンソンは、最近僕の周囲では「おっぱい女優」とよく言われている。調べてみると、実際にハリウッドを代表するグラマー美女として認知されているらしい。確かにきれいでスタイルもいいが、自分のイメージは「幸せへのキセキ」「アベンジャーズ」のブラック・ウイドウで、人情モノもアクションもこなせる多才な女優という印象。あまりセクシーさとは結びついていない。

本作では、もともとルーシーが「ソコソコ頭はいいけど、ちょっとゆるい女性」という設定のためか、冒頭ではおっぱいがよく揺れていたような?

今日の英語

  1. Gentlemen, this is Lucy.モーガン・フリーマンのセリフ)

日本語タイトル

「ルーシー」でも良さそうなものだがなぜ「LUCY/ルーシー」などと日英併記にしたかな。これを考えた人よりこれにOKを出した人のセンスには……ちょっと……

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