山田洋次監督(84歳)の85本目の監督作品。
題名 | 家族はつらいよ |
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監督 | 山田洋次 |
脚本 | 山田洋次、平松恵美子 |
出演 | 橋爪功(平田周造)、吉行和子(平田富子、周造の妻)、西村雅彦(平田幸之助、周造の長男)、夏川結衣(平田史枝、幸之助の妻)、中嶋朋子(金井成子、周造の長女・税理士)、林家正蔵(金井泰蔵、成子の夫)、妻夫木聡(平田庄太、周造の次男・調律師)、蒼井優(間宮憲子、庄太の婚約者)、小林稔侍(沼田、探偵)、風吹ジュン(かよ、居酒屋の女将)、木場勝己(高村、創作教室の先生)、笹野高史(警備員)、笑福亭鶴瓶(医師)、徳永ゆうき(鰻屋)、他 |
公式サイト | 山田洋次監督作品『家族はつらいよ』公式サイト |
制作 | 日本(2015年3月12日公開) |
時間 | 108分 |
劇場 | イオンシネマ新百合ヶ丘(スクリーン 9) |
雑感
「東京物語」と同じ配役で構成されていることもあるが、全員実によく作品世界に溶け込んでおり、またそれぞれに名演であり、楽しめた。欲を言えばあまりにもうますぎて、破綻がなく、詰まらなかったとも言えるが。
周造・富子夫妻に離婚問題が持ち上がった時、家族は周造ばかりを責め立てる。家族の中で、我儘で自分勝手な父と、家族のために献身的で優しい母、というキャラクターが完全に立ってしまったがゆえの必然的な成り行きであろうが、言いだしっぺは母なのだから、まずは母親に話を聞くべきだった。ちょっとフェアじゃないと感じた。
一般庶民からしたら横浜市青葉区にあれだけの家を建てられるのは裕福な方ではあろうが、さほど豪邸というわけでもない家に7人が暮らすのは息が詰まることもあろう。特に富子にとって、周造が定年退職したあとは居場所がなかったのではないか。それが創作教室だったのかも知れないが。だから短絡的に離婚うんぬんは置いておいて、お友だちが一緒に暮らそうといってくれるなら、一〜二ヶ月でも、しばらく家を出てみればよいのではないか、と思った。
そこから先はいろいろなパターンがあり得るだろうが、いくら豪邸に住んでいる(部屋が余っている)からとはいえ、赤の他人と年を取ってから一緒に暮らすのは、家族と暮らすよりはるかにストレスに感じるかも知れない。孫が恋しくて寂しさに耐えられなくなるかも知れない。
間宮憲子が周造に、富子に家を出て行かれたら寂しいと言葉で伝えるべきだと言い、周造は不完全ながら実行に移す。富子は、その言葉が聞きたかったと、元の鞘に戻る。結果的には憲子が一番正しかったわけだが。
西村雅彦と夏川結衣夫妻が、何の話をしていても、そのことに対する温度差から、すぐに夫婦喧嘩に発展してしまう運びが実にうまい。最後のスタッフロールの時の、パントマイムでの演技には唸らされた。
山田監督が、あの年齢でこれだけのクオリティの作品をコンスタントに作ってしまうのには恐れ入るが、使われる役者が固定し過ぎていてそれだけが残念だ。さすがに寄る年波で、気心の知れた人以外の役者を使う元気がないということなのだろうか。
過去記事
- 吉岡秀隆はミス・キャストだ!「小さいおうち」(2014/02/01)
- 日本映画だなぁ……「東京家族」(2013/02/02)