「夕凪の街 桜の国2018」

出演

平成編
昭和編

スタッフ

雑感

  • 当初、常盤貴子が主役をやるとの報に接して、ええーっ、七波は28歳だぞ、と驚いたが、原作が発表されたのは2004年。現代編を2018年の物語とするために作中人物に14年歳を取らせたわけか……(でも常盤貴子は46歳)。
  • 原作を知らない人がこのドラマを見れば、いいドラマだったと思うのではないかと思う。実際、それなりによくできていた。
  • 「夕凪の街」パートはスピーディな展開で良かった。ここをていねいに描くと安っぽいメロドラマになってしまうから、あっさりがいいのだ。それにしても川栄李奈がここまでできるとは……。「原爆を落とした人は、やった、また一人殺せた、とちゃんと思うてくれとる?」は効いた。
  • 「桜の国」パートは、ほぼドラマオリジナルといってよい内容で、良し悪し云々より、これをこうの史代原作「夕凪の街 桜の国」だと呼んでよいのかおおいに疑問に感じた。いくらタイトルに2018をつけたとしてもだ。
  • 風子(ドラマのオリジナルキャラクタ)は、医者になれと将来を強要する父に反発して家出を敢行。祖父の認知症疑惑に巻き込まれて広島に行き、そこで原爆が投下された後の広島の様子や、若くして亡くなった皆実のことなどを知る。生きたくても生きられなかった人に比べれば、今の私は幸せなのかなと考えて父と和解する。これは悪くない話。悪くない話だが、現代に生きる誰もが(ヒロシマを知れば)同じように感じておかしくない話であり、それが風子である必然性がない。つまり、「夕凪の街」とつながっていない。
  • 一方七波は、姪の風子をはじめ、周囲の人の幸せを見守るのが自分の役割であると思い込んでおり、自分自身の幸せをあまり考えていない。が、ドラマの終盤で旭に「お前が幸せにならなければ姉ちゃんが泣くよ」と言われて大門雄二からのプロポーズを受ける決意をする。……旭さんよ、それを娘が40代の半ばになった今頃言うのか。20代の時に言ってやれよ、と。そもそも七波の思いは単にぼっちをこじらせただけで、皆実の姪であることとは何の関連もなかった。つまり、「夕凪の街」とつながっていない。
  • 原作の「桜の国」の肝は、東京生まれの東京育ちの凪生が、交際相手の親から、(母親が幼い頃広島で被爆していることを理由に)娘と会わないでくれと言われることである。皆実の話は、皆実が死んでも(何度夕凪が終わっても)終わっていないのだ。そこに問題の悲惨さ、深刻さがあるのに、本作は、戦後編と現代編が、ストーリーはつながっていても問題が完全に分離していたのが残念だ。
  • 風子が被曝三世であることから、差別されたり、友人から距離を置かれたり、進学や就職で不利になったりする話なら、それはそれでよかったのではと思う。ただ、被爆者が差別されるというのは、もはや現実的ではないのかも知れない。あるいは、いまだにそのような現実があるとしたら、なおいっそうドラマには描きにくいのかも知れない。
  • 桜がほとんど登場しなかったのも残念だった。原作を知らない人は、どうして「桜の国」なのか不思議に思ったのではないか。

過去記事

(2018/8/18 記)