窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

天才数学者だそうだが……「アルキメデスの大戦」

題名アルキメデスの大戦
原作三田紀房
監督・脚本山崎貴
出演■数学者/菅田将暉(櫂直)
■航空主兵主義/舘ひろし山本五十六、海軍少将)、國村隼永野修身、海軍中将)、山崎一(藤岡喜男、造船少将)、柄本佑(田中正二郎、海軍少尉)
■大鑑巨砲主義/小林克也(大角岑生、海軍大臣)、橋爪功嶋田繁太郎、海軍少将)、田中泯(平山忠道、造船中将)、奥野瑛太(高任久仁彦)
■その他/小日向文世(宇野積蔵、戦艦長門艦長)、浜辺美波(尾崎鏡子、かつての櫂直の教え子)、矢島健一(尾崎留吉、鏡子の父・尾崎財閥社長)、笑福亭鶴瓶(大里清、大里造船社長)、角替和枝(料亭の女将)、木南晴夏(もしかして秘密を洩らした料亭の女か?)、他
公式サイト映画『アルキメデスの大戦』公式サイト
音楽佐藤直紀
制作日本(2019年7月26日公開)
時間130分
劇場イオンシネマ 港北NT(スクリーン9)

概要

  • 1933年(昭和8年)、山本五十六らは、これからの海軍に必要なのは航空母艦であり、巨大戦艦は不要と説くが、嶋田繁太郎らは大口径の主砲を搭載した巨大戦艦こそが日本軍の象徴であると考えており、対立。山本は、嶋田が平山に命じて設計させた戦艦の建造予算が低いことに注目し、不正の証拠をつかむため、帝国大学で天才数学者の誉れ高い櫂直に目を付け、協力させるが……

雑感

  • 抜群に面白い。笑えるシーンもいくつかあるが、それは本気で笑える。全体を貫いているのは重たい話であるが、うまくサラリと処理してある。冒頭の戦闘シーン(戦艦大和が撃沈されるシーン)は力が入っており、これだけでも見る価値がある。映画らしい映画であり、よくできた作品である。
  • これからの戦闘機は戦闘機が主役になる、と見抜いた山本五十六らは見事だが、大角海軍大臣嶋田繁太郎らは時代が全く見えていない。いつの時代にもこういう人が足を引っ張るのだなあと思いながら見ていたのだが、物語は途中で二転、三転する。
  • ひたすら戦争を避けるために、戦争で苦しむ人をこれ以上出さないために、ということだけ考えていた櫂直に対し、山本らは同調するふりをして次の戦争の準備も進めている。一方、平山忠道は、戦争は避けられない、問題はいつ戦争を終わりにするかだという。国が壊滅するまで戦ってはダメなのだと。ではそのためにどうする……? こうした問題の解決は、数学の問題のように一筋縄ではいかないことに直面した櫂直は初めて悩む。これが終盤のクライマックス。
  • 視聴者にも問いかける。1933年に生きていたら、何をすべきだったのか。戦争を避けるためにできることは? 戦争が避けられないとしたら?

配役

  • 角替和枝柄本佑の母)はこれが遺作。最後に親子共演できて良かったか。
  • 浜辺美波は(メークのせいか)老けて見えたが、まだ10代(19歳)だった!

(2019/9/24 記)