あらすじ
二回ほど見逃してしまったが、美濃は尾張との同盟のため、信秀の子に帰蝶を嫁がせることにし、恐らくはその偵察で十兵衛が尾張へ行ったところまでが前回か。冒頭で織田信長登場。野山を駆け巡る信長は珍しくないが、海から魚を持って登場するのは珍しい。その場で自らさばき、切り身を民人に安く分ける。
美濃には海がない。尾張には海があり、魚が取れるだけでなく、他国から舟で品物が運ばれてくる、尾張の名産を他国へ運ぶこともできる、こうしたことから尾張城下は非常に豊かで栄えていた。美濃はこの海を手に入れるべく、織田と小競り合いを続けてきたわけだが、織田との同盟が成れば血を流さずに尾張の海を手に入れることができる。それゆえ、織田との同盟はするべきだし、そのために帰蝶は信長の許へ嫁ぐべきだと十兵衛は考える。
帰蝶は実は十兵衛のことを慕っており、十兵衛のお嫁さんになりたい、という気持ちもずっと持っていた。が、その十兵衛から尾張へ行くべきだと聞かされ、信長の嫁になる決意をする。
駒が京へ発つ。
今日の帰蝶&十兵衛
帰蝶「十兵衛の口から聞きたい。行ってみるべしと」
十兵衛「行かれるがよろしいかと」
帰蝶「申したな。この帰蝶に」
十兵衛「尾張へ。お行きなされませ」
帰蝶「十兵衛が申すのじゃ。是非もなかろう」
雑感
帰蝶が十兵衛に恋心を抱いていたのはみんな知ってたけど(十兵衛だけは知らなかったと思うけど)、いくらいとこで幼なじみだとはいえ、領主の娘と家臣である。この思いが成就するはずがない。そんなことはわかり過ぎるほどわかっているのだろうが。十兵衛の口から尾張へ行くように言わせ、踏ん切りをつけるところは痛ましいがカッコよかった。帰蝶が川口春奈でよかった。
(2020/3/18 記)
追記(2020/4/14)
- 既に第十三話まで見たところでオンデマンドで見返してみた。後日信長が十兵衛のことを覚えていて、さすが信長は一度見かけただけの人も全部覚えているのか……! と驚いたが、改めて見てみると、この時の十兵衛は怪し過ぎる。忍びの鉄則は気配を消すことだが、魚を売っている信長に近づいて魚を買わず、チラチラ様子を伺いながら物思いに耽っている。これなら信長ならずとも記憶に残って当然だ。
- 信長が売っている切り身をみな手づかみで受け取っているが、そんな剥き身の切り身が市場で高く売れるものなのか?
- 高政は母・深芳野に、自分は本当に利政の子なのか、本当は土岐頼芸の子ではないかと詰め寄る。深芳野はあきれて(恐らく)「そう思いたいなら思いなされ」と突き放す。が、ここでは絶対に否定すべきだった……
- 駒、牧から明智の(桔梗の)紋の入った扇子をもらう。十兵衛は、それは父の形見の品だと教える。牧は駒によほど感謝しているようだ。
- ところで、利政は海を手に入れたいがために織田と手を結ぼうとする。尾張に行き、港が栄えているのを目の当たりにした十兵衛は利政の言い分に納得する。一方頼芸は、織田は今川という強大な敵に対抗するために美濃と手を組もうとしているわけで、織田と同盟すれば今川との戦に巻き込まれる、だからすべきではないという。美濃と尾張が手を組んでも今川が本気で攻めてきたら勝ち目はないと考えるのは当然で、頼芸の言い分はもっともである。また高政は織田との同盟に反対という点では頼芸と同じだが、尾張の守護は斯波氏、美濃の守護は土岐氏であって、守護でも守護代でもない利政と信秀が手を組むなど心得違いも甚だしいという。家柄や身分というものがまだまだ重要視されていた時代だから、当時の常識としてはこのような考えもおかしいとは言えないが、既に下克上は始まっており、ちょっと時代遅れの感は否めない。
- 稲葉良通をはじめ美濃の有力豪族が頼芸の元に集まっていて、高政はそのまとめ役といった感じだが、この人たちは「反利政」で集まっているのはミエミエ。反○○で集まった集団は、首尾よく○○を蹴落としたあとはバラバラになるのは常道。そこも高政は見えていない感じだ。
- 今川義元が松平広忠に尾張侵攻を指示。
- ラストは帰蝶の嫁入り。婚礼の儀のはずが、信長が行方不明。
- 時間が経ってから見返すと、いろいろとのちの伏線がばら撒かれていて気が抜けない。