窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(21):安子の再婚話

第五週「1946-1947」(月)

放送日

  • 2021年11月29日

概要

稔が死んだと聞いて美都里はすっかり変わってしまった。食事にもろくに手を付けようとせず、せめてお吸い物だけでもと安子の差し出す椀をはたき落とし、ついに安子に向かって、「あんたと知り合ってから稔は変わってしまった。私から稔を奪ったのはあんただ。あんたが稔を殺したんだ」と言い放つ始末。

「お母様、あんまりです」と言い返すと、「私に逆らうのか、とうとう本性を現わしたね」と手が付けられない。

ある日、千吉が安子に、喪が明けるのを待って、再婚してはどうかという。「私は稔さんだけの妻なのです。ずっとこの家においてください」と食い下がるも、美都里がすっかり変わってしまったこと。自分はこれから仕事が忙しくなり、家のことに目が行き届かなくなること。だから再婚してこの家を出るのが一番いいと千吉は説く。るいはどうなるのですか、と問う安子に、雉真の子として育てると答える。「私からるいを引き離さないでください……」

夜。勇が安子の部屋へやってくる。安子はもう夜具に着替えている。勇は安子の手を取ると、分厚い封筒を握らせる。中は札束だ。これを持って、るいと二人でこの家を出ろ、と勇は言う。

雑感

先週まで、悲しいこと、切ないことがたくさんあったが、が、腹が立ったのは初めてだ。

稔の死に、家の者は誰もが心に傷を負っただろうが、勇には自分の未来があり千吉には事業がある。そうでなくても心の小さい美都里は、矛先を安子に向けるしかなかったのだろう。が、いくらなんでもこれはない。その上、食卓の事件は周囲に人が大勢いたが、誰も美都里を叱ったり止めたりしない。注意に疲れたか、言っても聞かないと諦めているか。そのことにも腹が立った。恐らく、稔の死を知った時から、こうしたことが日常的に繰り返されてきたに違いない。

そこは人格者の千吉になんとかしてほしいと思ったが、千吉の提案も到底受け入れがたいものだ。千吉なりに考え、温情を示したつもりだろうが、当時の男としては、このあたりが限界か。

  • 稔が死んだのは安子さんと何の関係もない。誰と結婚しても運命は変えられなかった。
  • これまで献身的に家のために尽くしてくれた安子さんに、感謝の気持ちはないのか。
  • これ以上安子さんに当たるなら、お前を家から追い出すぞ。

くらいのことを言ってほしいと思ったが、千吉にとっては妻。多少の欠点はあれ、それはできないということか。

26日の記事で、「千吉も美都里も、いい嫁が来てよかったと思っているはずだ」と書いたが、千吉はともかく、美都里はそんなことは全然思っていなかった。

安子と父の話を聞いてしまった勇が、「父さん何言っているの!」と部屋に怒鳴り込んで行かなかった点は、成長の跡が見られた(僕は二人に割って入ると思った)。そして逡巡する。彼の出した結論は、このままでは安子とるいが引き離される、るいを連れて出て行くしかない、というものだった。

ただし、雉真を出れば安子はもうはや一人ぼっちだ。当座の金をもらったところで、幼児を抱え、どうやって生計を立てていくか。勇の提案も非現実的に思えるが、安子はどのように受け取るか……



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