第七週「1948-1951」(火)
放送日
- 2021年12月14日
概要
安子の作ったおはぎを口にした算太は、たちばなの味が受け継がれていることに驚く。そして、一緒にたちばなを再建しようと呼び掛けた。美都里のおかげだと安子は喜ぶ。
雉真の売上を伸ばすために野球部を作ることを勇は提案。千吉は一蹴するが、林専務が支持。勇が野球部の主将として野球部をまとめたように、雉真をまとめていこうというのは悪い案ではないと。
安子が美都里の部屋へおはぎを持っていくと、美都里は庭でるいを遊んでいる。安子は美登里のおかげで兄が変わったと感謝の意を伝える。
雉真繊維と竹野物産との野球の試合を観戦する千吉と美都里。少しずつだが売り上げが伸びていると美都里に語る千吉。試合は勇のホームランで逆転。美都里は翌年のクリスマスの前に亡くなった。
米軍が岡山から撤退することになり、ローズウッドも岡山を去ることになった。安子は、本当に戦争が終わったのだと感じた。
今日の算太と安子
「(おはぎを食べながら)まずいです」
「え!?」
「うそじゃ。うまい」
今日の美都里とるい
「るいのお父さんもおはぎが大好きじゃった。大学予科の初めての夏休みに、おはぎを買うてきてくれたんじゃ。大阪で買いそびれたから、朝丘町のたちばないう店で買うてきたよ、いうて……」
「(むせび泣き、言葉に詰まる美都里に)おいしゅうなあれ、おいしゅうなあれ」
「なんじゃ」
「おいしいあんこのおまじないじゃ」
今日の美都里と千吉
「稔が死んで、野球しかしたことのねえ勇を後継ぎにして、一時はどねんなることか思うたが、てえした奴じゃ、勇は」
「今さら何を言いよるんで、当たり前じゃろ、私が生んだ子なんじゃから。自慢の息子じゃ、稔も、勇も」
「そうじゃな。ありがとう、美都里」
今日のローズウッドと安子
「ミセス・キジマ、これからも英語の勉強を続けてください。きっとあなたを、どこか思いもよらないところへ連れて行ってくれますよ」
雑感
美都里
前回、美都里に抱きしめられた算太が、苦しい心情を吐露し、素直になったが、美都里も算太を抱きしめたことで、稔に対する思いが浄化されたという側面があったのではないか。息子が死んだことを認め、純粋に悲しむだけの気持ちに。稔がたちばなのおはぎを買って帰ったことは、安子にとっては出会いの思い出だが、美都里にとっても、家を出た息子が初めて買ってきてくれたお土産だ。感慨深いものがあっただろう。
今週の美都里は、魂が純化された、聖女のような感じがする。本当にすごい人になって、旅立っていった。ここでいなくなるのかと意外だったが、まあ、とにかくこのドラマは次から次へと人が死ぬのだ。
野球部
野球部を作ったら売り上げが伸びるほど商売は簡単ではない。それだったら誰も苦労しない。林専務も、本当にいい案だと思ったかどうかは怪しい。ただ、せっかくの勇の提案だから、それに乗って、勇に自信をつけさせたいという親心(?)だったのではないか。そして他の社員も、おぼっちゃまに恥をかかせてはいけないと、頑張ったからではないか。そんな風に社員を頑張らせるものが勇にあったという点では、リーダーの資質を備えていたといえるかも知れない。
ところで、野球のユニホームは、自軍のはもちろん雉真で作ったのであろうが、相手チームのユニホームは誰が作ったのか? これから企業スポーツは盛んになる。雉真のユニホームは丈夫ですべりこんでも破れない、となれば、商売のチャンスはないか。各企業の野球部に勇が営業に行くと、「雉真勇さん……って、もしかして弓岡中で四番を打っていた雉真選手ですか?」みたいな話になって、商談が有利に進む可能性はある。その時こそ勇の経歴を生かす時だ、と思うが、誰もそういう提案をしないなー。