窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「幼なじみの絆」(13)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第13話「幼なじみの絆」

放送日

  • 2022年4月3日

登場人物

概要

政子が男児を出産し源頼朝の嫡男誕生に沸く鎌倉であったが頼朝の浮気が大騒動に発展。激怒した北条時政は伊豆へと戻り、これを比企家の好機と捉えた能員は源義経らに近づく。そんな中、義時は八重のことを一途に思い、鎌倉と江間を往復する日々を送っていた。一方、平家に敗北し再起を図る源行家木曽義仲を頼り……。(NHKオンデマンドの解説より)

今日のダイジェスト:

  • 木曽義仲の登場
  • 比企家のたくらみ
  • 義時と八重
  • 亀の退場

武田信義から、木曽義仲平氏と組んで鎌倉を攻めてくると吹き込まれた頼朝は、義仲の意向を確認するため、源範頼三浦義村北条義時らを使者に送る。義仲は、源氏同士で争うつもりはないと言い切り、人質を出せとの意向には息子の義高を行かせるという。また源行家を手厚く遇しているのを見て、それほどの人物ではないのでは、という使者の言に「相手が誰であれ、頼ってきた者を無碍にはできない」と言うなど、なかなかの人物である。巴御前をはじめ、配下の者も義仲に従う姿勢を見せており、なかなかまとまらない鎌倉の御家人と好対照。

時政が伊豆へ帰ったのを見て、北条家に取って代わり今こそ比企家の勢力を伸ばす時、それには源氏にもっと食い込むべきだと、範頼・義経を家へ招待し、比企尼の孫娘に当たる女性を紹介する。範頼は、鎌倉殿の許可なく勝手なことはできないと席を立つが、義経は里が気に入ったようで、お持ち帰りをし、その晩、関係を持つ。

江間に住む八重の許に義時は日をおかず訪ね(自分の家だから訪問ではなく帰宅だが)、野菜や魚などを届ける。八重は怖がり、そんなに頻繁に来なくていい、月に一度でいいと言うが、義時は聞き入れない。義時は、八重から好かれていないことはわかっていたが、義仲と会った時に、巴御前が、もともとは幼なじみだが、義仲こそ私が尽くすべきお方と心に決め、忠誠を誓った姿勢に打たれ、自分も八重に対し、献身的に尽くそう、振り向いてくれなくてもいい、その時は背中に尽くそうと改めて決意。その気持ちを八重に打ち明けると、初めて八重は義時に笑顔を見せる。番組終了後の「紀行」で、八重が義時に嫁いだことが語られる。

政子は亀を訪ね、手を引くように命令する。亀は「引いてもいいけど」と和歌を詠み、和泉式部だけどわかるかと問う。政子は「そのくらい」と強がるが、明らかにわかっていない。以前(りくを通じて)読むようにと本をたくさん渡したが、読んだか、読んでいないだろう。それでは鎌倉殿の正妻は務まらない。地位に相応しい知性と教養を身につけなければ、と説く。あんたは、坂東中の女のお憧れなんだから、と。政子は謙虚に「何から読めばいいでしょうか」と尋ねる。

雑感

八重は序盤で退場と思ったが、ずいぶん長く引っ張っている。今日が最後か、今日が最後かと思っていたら、なんと、義時に嫁ぐことになったという。これには驚いた。そんな話は初めて聞いた。調べてみると、確かにそのような説もあることはあるらしい。証拠はないので、単なる仮説に過ぎないが……。

面白い説だが、この展開には納得いたしかねる。父と兄を亡くした八重に、義時は一度縁組を申し入れているが、即答できっぱり断わられている。その後も八重は伊豆に住み、義時は鎌倉で仕事をしているにも関わらず、頻繁にやってきては勝手にいろいろなものを置いて行く。完全なストーカーである。その上八重は、今となっては義時の世話にならなければ生きていけない身の上だから、正面から拒否することができない。つまり、パワハラでもある。本人は純情一筋で悪気がないのは明らかだが、八重にとってはたまったものではない。

ところがこのパワハラとストーカーのコンボが、結局気持ちが通じて、最後は八重が受け入れたとなると、ストーカー呼ばわりされようが、しつこく続ければいつかわかってもらえる、という話になってしまう。令和の世のドラマとしては到底受け入れられない結論だ。うがった見方をすれば、八重は義時の真心に触れて本気で慕うようになったのではなく、私はこの人と仲良くする以外に生きていくすべはないのだわ、と腹を括って義時に笑顔を向けたのだと解釈できなくもない。

義仲を優れた武人として描いたのは良かった。
(2022-04-04 記)



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