窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「天下人家康」(40)

題名

  • 「どうする家康」第40話「天下人家康」

放送日

  • 2023年10月22日

登場人物

概要

秀吉が死去し、国内に動揺が走る。家康は三成と朝鮮出兵の後始末に追われる。秀吉の遺言に従い、家康は五大老たちと政治を行なおうとするものの、毛利輝元上杉景勝は自国に引き上げ、前田利家は病に倒れる。家康は加藤清正ら諸国大名たちから頼られる中、やがて政治の中心を担うようになる。そんな家康に野心ありとみた三成は警戒心を強め、二人は対立を深めていく。(公式サイトより)

今日の前田利家

「治部が生まれたのは桶狭間の年だそうじゃ。貴公が兵糧入れを成し遂げたあの戦も、奴にとっては壇ノ浦や承久の戦と同じ、いにしえの物語……」

今日の本多忠勝

伏見城を取り囲んでいる福島・加藤・黒田・蜂須賀・藤堂らの手勢に単身・丸腰・素手で乗り込み、「眠りを妨げられ、わが主が困っておる」と騒ぎを沈めてしまう。

雑感

太閤亡き後、石田三成がハブにされ、隠居させられるまで。言っていること、やっていることは間違ってはいないが、融通が利かないために敵を作り、孤立していくというのは世にある三成である。家康から皆に謝罪するよう薦められても「私は間違ったことは何一つしておりませぬ!」と言い張るのだが、本作に関していえば、いやこの40話に限っても、三成が過ちをいくつも犯している。

朝鮮から命からがら戻って来た福島正則加藤清正黒田長政らを迎えた時、「おぬしらの失策については咎めだてはせぬ」と声をかける。これで彼らを怒らせるのだが、第一に朝鮮出兵は誰がやっても勝てる戦ではなかった。だから現場の者たちは失策を犯したわけではない。敢えて失策と言うなら、それは戦を仕掛けたことだ。まあ、ここで秀吉を責め立てても仕方がないが、「失策」という言葉を使ったのが第一の失策。次に、そもそも三成は彼らを咎めたり咎めなかったりする立場にあるのか? という点が第二。五奉行の一だから? しかし、彼らは三成の部下ではない。石高でいっても、三成の19万石に対し、加藤清正25万石、福島正則20万石、黒田長政18万石、蜂須賀家政18万石と、ほぼ同格か、むしろ若干上。上から物を言う相手ではない。また、「殿下が亡くなられたのは本当か?」と訊かれても「今は言えぬ」はないだろう。秀吉の死が朝鮮や明側に伝われば、撤退自体が危うくなるかも知れない。が、もう日本へ戻って来たのだ。秀吉子飼いの彼らには真実を告げるべきだっただろう。

他にもいくつか挙げられるけど、とにかく間違ったことばかりしている。だから失脚は致し方ないところだ。人の上に立つ器ではなかったのだ。秀吉を尊敬するのはよいが、秀吉が成功してからの部下で、若く苦労している秀吉を知らないから間違った刷り込みがなされてしまったのかも知れない。若き日の秀吉は、柴田勝家などに理由もなく殴られても「ありがとうごぜえます」というしたたかさがあった。

前田利家の、多くの者にとって、今川義元武田信玄、勝頼、織田信長、秀吉らと渡り合ってきた家康は、神代の昔の大蛇(おろち)に見えているだろう……という指摘は興味深かった。なるほど五大老の顔ぶれを見ても、戦国時代を知っているのは前田利家のみ。秀吉が戦った毛利は吉川元春小早川隆景であり、輝元は甥っ子。信玄の好敵手は上杉謙信であり、景勝はその子。暗殺で有名な宇喜多直家は秀家の父。みな代替わりしているのだ。家康はそういう存在なのだ、それを自覚せよと。

物語冒頭で五大老が紹介される時に、石高が派手派手しく表示されたのは、なんかの少年漫画のようだが、素直にカッコよかった(前田利家83万石、毛利輝元112万石、上杉景勝120万石、宇喜多秀家57万石、徳川家康250万石)。

新キャラが大挙して登場。毛利、宇喜多ら西国大名はこれまで関りがなかったから致し方ないが、ここで登場させるなら上杉景勝黒田長政はもっと早くから登場していてもよかった。関ヶ原でも重要な役回りになるはずだが、ポッと出のキャラでは思い入れが湧かない。余計な心配だが、大坂の陣を描くなら片桐且元は外せないだろうが、それなら早く登場させてほしい。


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