第10週「大空の弟」(水)
放送日
- 2023年12月6日
概要
弟が戦死してスズ子が落ち込んでいるのではないかと心配した羽鳥善一は、食事でもしようとスズ子を自宅に誘う。後日、スズ子が羽鳥の家を訪れると、そこには茨田りつ子も食事に招待されていた。羽鳥が二人を誘ったのには、ある理由があった……。そんな中、梅吉が突然、香川へ戻り、幼なじみの繊維工場を手伝うと言いだす。引き止めるスズ子だが、梅吉は聞く耳を持たずにいた。(NHKオンデマンドの解説より)
羽鳥は、歌う場所がないなら自分たちで作ろうと言い、茨田りつ子と福来スズ子の二人コンサートを企画する。が、歌えない。歌おうとすると弟の顔がちらつき、声が出ないのだ。羽鳥は、君の話を聞いてこの歌を作ってみた、と新曲「大空の弟」という曲の楽譜を見せる。
感想
幼なじみから手伝ってくれと言われたのがどこまで本当かわからないが(もっとも、梅吉に嘘をつく能力があるかは疑問だが)、香川へ帰るのはいい案だ。これまでも書いたように、東京では梅吉にやることがない。飲むか、寝ているだけの生活が心身を蝕んでいるのは明らかだ。その上、あの狭い部屋で二人、三人が同衾するのも息が詰まる。いい機会だから梅吉は香川で自立の道を探した方がいい。
しかし、スズ子はそうは受け取らなかった。これ以上家族がバラバラになるのが耐えられなかったか。自分が実の子でないから見捨てられるのかと感じてしまったか。血のつながり云々に関しては、今になってそれを持ち出すくらいなら、当初からはっきりさせればよかった。「聞かなかったことにする」決意をした時に、封印したはずだが、秘密を共有した六郎がいなくなり、封印が解けたか。
ところで、羽鳥が言い出したのは、要は自主興行をするということだろう。ということは、これまで五木は興行主を探して営業に回っていたということだ。自主興行は、宣伝も切符の販売も全部自分たちでやらなければいけない。そのリスクを乗り越えるのは簡単ではない。twitterもinstagramもない時代だし。
スズ子が歌えないのは、今のところ楽団のメンバーは知らないようだ。ということは、ドラマの都合上、単に練習風景を描いていないというのではなく、本当に彼らは練習していないのだな。公演予定があろうがなかろうが、毎日何時間も練習しないと、音楽は作れないだろうに。まして新生楽団なんだから。