窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「ブギウギ」(064)

第13週「今がいっちゃん幸せや」(木)

放送日

  • 2023年12月28日

概要

東京に戻ったスズ子は、空襲で一面が瓦礫になっている惨状を目の当たりにする。スズ子が三鷹の家に戻ると、幸いなことに家の付近は空襲はなく、愛助とも無事再会する。坂口からは、トミも無事だと聞くが、東京や大阪の多くの知り合いの安否はわからないままだった。空襲警報が当たり前の日常となる中、スズ子は慰問で地方に行き、愛助と離れることを不安に思うようになっていた。(NHKオンデマンドの解説より)

富山からの公演依頼があると、山下が話を持ってきた。が、スズ子はこの家を離れたくないから断わってくれと答える。

防空壕の中、泣き止まない赤ん坊に怒る男、殺伐とした空気が流れる中、スズ子は「アイリ可愛や」を歌う。一転、穏やかな空気に変る。愛助は、スズ子さんの歌は皆を正気に戻すと言う。スズ子は、やっぱり自分は歌うと言い、それを聞いた小夜が、そのことを山下さんに伝えると言って駆け出す。

今日の小夜

「やかましいな、そんなに泣かしたら、敵機に見つかっちまうわ。黙らせるか、この防空壕から出て行け!」
「済みません……」
「そんなことあんめえ。赤ん坊の泣き声が敵機に届くわけねえっつの。本当はおめえが泣きてえんでねえか? おっかなくって、おっかなくって」

感想

ネットはもちろん、テレビニュースもない時代、東京が空襲に遭ったと言われても、何が起きたか想像するのは難しい。帰郷し、瓦礫の山を見て、想像のはるか上の事態に呆然自失となるのはわかる、愛助の無事を確認すると、二度と離れたくないと思うのもわかる。山下もそれをわかるからこそ、富山からの依頼を報告するが、スズ子が「行きたない」と言うとすぐに「わかりました」と答える。

が、防空壕の一件で、泣き止まぬ赤ん坊を抱いていた女性は、うろ覚えの「アイリ可愛や」をこれからずっと子守唄代わりに聞かせるだろうし、この日のことをずっと語り聞かせるだろう(終戦まで生きていれば)。スズ子が歌うということは、そういうことなのだ。それを再認識し、歌う決意をした……という流れはよかった。

山下は、復帰以来あっという間に仕事を取って来てスケジュールを埋めるだけではなく、スズ子の気持ちが第一と、常にスズ子の意を受けて動くなど、有能ぶりを発揮している。かつての腕利きが、年を取って昔の力がなくなっても態度だけはでかいという人はたくさんいるが、この人はすごい。逆にいえば、これだけできるのになんで引退した?



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