第13週「今がいっちゃん幸せや」（水）
放送日
- 2023年12月27日
概要
トミの許しが出て、山下が正式に楽団のマネージャーとして加わることになった。スズ子は、日本各地を慰問でまわり、東京に戻ると愛助の看病を続けるという忙しい日々を過ごす。やがて、愛助も回復し、二人はささやかな幸せな生活を送っていた。しかし、東京都心でも空襲が起こるようになっていた。一方、上海では羽鳥善一が軍からある依頼を受けることになる。（NHKオンデマンドの解説より）
京都での公演を前に東京空襲の報が入る。山下は「スズ子さん、歌えるか？」と確認し、「今日は中止や」と興行主に伝える。が、スズ子は「お客さんを黙って返すわけにはいかへん」と公演を行なう決心をする。
公演を済ませ、急ぎ帰郷してみると、そこは焼け野原だった……
感想
時局柄、音楽界など開けるのか疑問であったが、山下によれば、東京大阪はもちろん、地方公演もほぼ絶望的、が、慰問という道があるとのこと。そして山下はさっそく「慰問」という形で各地の企業などの行き先を見つけて来た。やはり、やり手なのだ。
化学療法のない戦前は、結核の治療といえば、安静にして体力が病原菌に打ち勝つのを期待するしかなかった。スズ子と知り合った頃の愛助は、お金は持っていたかも知れないが、案外碌なものを食べていなかったのかも知れない。スズ子と一緒に暮らして、栄養のある者を三度三度食べることにより、体力を回復したのか。だとすれば、スズ子の力だといっても間違いではない。が、これから戦局が悪化し、食糧事情がいっそう悪くなると、どうであろうか……
東京空襲の知らせを聞いた時の山下の反応は、可愛がっていたボンの生死ではなく、スズ子へ「歌えるか？」だった。中止に楽団員も、主催者側も納得しているのにスズ子は「やる」というここは羽鳥先生の教えが生きているのだ。
