窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「ブギウギ」(066)

第14週「戦争とうた」(金)

放送日

  • 2024年1月5日

概要

1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子は、従業員の静江の話を聞き、この人のためにも歌を歌わなければいけないと心に誓う。鹿児島の茨田りつ子は、特攻隊員たちの見つめる中ステージに登る。隊員たちが望むものを歌うと、りつ子は隊員たちに希望を問いかける。それぞれの思いを胸にステージに立つ二人。戦争とうた。(NHKオンデマンドの解説より)

広島に新型爆弾が落ちる。

茨田は観客に「皆さんの希望する歌を歌います」と呼びかけると、若い軍人から「別れのブルースを歌ってほしい」との声が挙がる。上官はそっと立ち、会場を後にする。「わかりました」と言って別れのブルースを歌い上げると、「これで思い残すことはありません」「覚悟ができました」と口々に答える。

スズ子は、観客の中に幸の手を引いた静枝の姿を確認すると、「大空の弟」を歌う。その後、旅館で球児をしながら静枝はスズ子に、あの歌を聴いて夫を思い出しました。夫の字はきれいですが、私は下手で。私の字を見ると笑うんですよ」と短い夫婦生活を懐かしみ、スズ子は歌ってよかったとの思いを新たにした。

感想

敵性音楽であるブルースを歌わせるわけにはいかない。しかし特攻隊員がそれを望むなら、叶えてあげたい。その狭間に立った上官が席を外したのが印象的。俺はいないから、いない場所で何があっても知ったことではない、というわけだろう。

静枝は、夫はお国のために戦って死んだのだ、それが誇りなのだと気負って生きて来たが、些細なことで笑い合う「夫婦生活」を思い出せてよかった。歌の力というだけでなく、娘を可愛がってくれたスズ子(や楽団の人)の気持ちとか、もろもろあってのことだろうが。

4~5日放映分で、富山へ慰問に行くが、空襲に遭ったばかりで宿屋が被災者の避難場所になっていた。本日は、これから金沢へ行く予定だったが、それどころではなくキャンセル、という話が出た。現実の能登半島地震と怖いくらいリンクしているが、これ、これまでの朝ドラや大河ドラマでもあった。よくできた作品は、今の出来事を意図的に盛り込んだのか? と言いたくなるくらい、時事とピッタリ符合する時がある。

広島に新型爆弾が落ちたという新聞記事を読んで、多くの人は「またか」という程度の認識なのが興味深い。誰にとっても想像外のものだから、この時点で想像できないのは当然だが、愛助だけは「数万人が一発で」というあたりから、ことの深刻さに気付きかけているようだ。やはり彼は頭がいいのだ。



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