雑感
ストーリーは、結局ファンタジーだったということか。黒門島のシャーマンであった奈緒子の母が、決められた結婚式をバッくれて剛三と駆け落ちし、シャーマンがいなくなった島は死にはじめ、島民は奈緒子の母を怨んでいる。剛三が、単に手品師というだけでなく、霊能力者と称する人に敵意を燃やし、そのトリックを暴き続けてきたのは、こうした過去と関係がありそうだ。
一方、黒門島の人から殺されるかも知れないという危険は常に感じていた様子だが、黒門島に本物の霊能力者がいることは信じていた? 少なくとも里見自身は、自分に霊能力があり、奈緒子もそれを受け継いでいるということは信じていた? 前者は彼の信念と矛盾するし、後者は、一方で上田に対して自分の霊能力を示すのに手品を披露しているのだから、どうもはっきりしない。
父親のあとを継いで、この世に霊能力などない、あるとすればそれはトリックと信じているはずの奈緒子が、なぜか自分に霊能力があると言われてそれを信じてしまう。もっとも、面白いことにこの時は上田が意外に冴えた言動をする。そのあたり、この二人はお似合いではある。で、けがをした上田の腕に奈緒子が触れると、一瞬で治ってしまうのは、奈緒子に霊能力があるということ? それとも何かタネがある?(恐らくここでは、どちらとも解釈できるように曖昧な表現にしていたのだと思うが)
黒門島の一派は、事故に見せかけて剛三を殺し、里見は、いつの日か奈緒子が、自分が父親を殺したと誤解するように、奈緒子の宝箱に証拠のカギを入れておき、それに気づいた奈緒子が黒門島に行くように仕向け……という理解でいいのかな。しかし奈緒子に黒門島へ行かせて何をさせたかったのかが不明。黒門島にもいろいろな派閥がありそうだが、剛三を殺したのが誰なのかも不明。里見がなぜ自分の過去を奈緒子に20年間黙して語らなかったのかがさっぱりわからない。剛三の死は事故死で片がついたが、里見は事故ではなく殺されたのだとわかっていた。それなのになぜ警察にそう言わなかったのかが不明。不明だらけ。
自分一人の力ではどうしようもないから? でも結局、最後は単身で乗り込んでいくし。しかし、びっくり玉(?)を破裂させただけで、これといったことをしたわけではないし。過去を反省してシャーマンに戻ったわけではなく(一時的にそう装うが)、地元民の怨みは消えたわけではないのに、どうやって島を脱出し内地に戻って来たのかもわからない。
わからないついでに、黒津家には、代々伝わる宝のありかを記した札があり、それと奈緒子が伝えられたものと合わせると宝のありかがわかるという。奈緒子が伝えらえたものというのは「門」の中に「火」がある文字のことだろう。この字になるように札を並べると、裏に地図が出現するというわけ。奈緒子はこの文字をいつ知った? 黒津ではこの文字を知らなかった? それなのに元男が偽を札を作れたのはどうして?
まだまだあるが、きりがないからこのくらいにする。父親の死にまつわる謎を一話からずっと引っ張ってきて、結局真相は明確にならず、黒津兄弟の目的は単なる宝探しで、ストーリー的には破綻していると思う。
しかしまあ、面白かったから、いいか。
既に予備知識があったから、知ってはいたんだけど、たびたび奈緒子をストーキングしている男の名はテルキナ(照喜名保)、沖縄っぽい名だが黒門島とは何の関係もない単なるストーカーだということがここで判明。黒津がそこまで調べるかねえ。
野際陽子はうまいと思うが、奈緒子の母親役としてはしっくりこない。やはりちょっと年齢が離れすぎているのではないか(放映時、64歳。仲間由紀恵が20歳だったので44歳差)。
正名僕蔵は「踊る大捜査線」に河原崎宗太役で出ているらしいが記憶にない(コスプレマニアの偽警察官。テレビ本編の第三話、「秋の犯罪撲滅スペシャル」にも登場するが、本格的な登場は劇場版およびプロジェクトK)。
仲間由紀恵の初主演作は、こうして幕を閉じた。
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