窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

トリックのすべてがここにある「トリック」シーズン1「母之泉」(DVD)

雑感

最初のドラマのエピソード1を見返してみた。すごく面白かった。見始めた時はさほど印象に残らなかったが、最終回が終わった今見ると、すべてがここに集約されていることがわかる。

  1. 奈緒子のマジックショーに客が集まらない(照喜名のみ)
  2. 奈緒子、クビになる
  3. 奈緒子、アパートの家賃を催促されるも払えない
  4. 超常現象の謎解きの依頼が上田にある
  5. 上田が奈緒子を付き合わせる
  6. 何が起きるかわからないのに奈緒子はスカートで出かける。泊まりになるが、夜具はなく、寝る時も昼間の服装のまま
  7. キーになる人があっさり死ぬ
  8. 霊能力といってもやっていることはチャチな手品
  9. 上田は怖いとすぐ気絶
  10. 上田は空手の達人
  11. 上田、奈緒子も命の危機が訪れるが、あまりサスペンスフルではない
  12. 奈緒子の決め台詞「お前らのやったことはお見通しだ!」
  13. 上田の決め(?)台詞「僕もそうだと思っていた」
  14. 上田が奈緒子のことを(時として)ユーと呼びかける
  15. 奈緒子の「エヘヘヘ!」
  16. 貧乳と巨根
  17. 山田里見の習字ギャグ
  18. 照喜名の奈緒子へのストーキング

今見ると、矢部のズラネタも確かにあるが、明確ではなく、初めて見た時は気づかないだろう。照喜名のストーキングはしばらく続くため、上記で挙げておいたが、今では廃れている。山田里見が奈緒子よろしく「エヘヘヘ!」と笑うシーンがあって、これはなかなかいいシーンだったが、これが最初で最後ではなかっただろうか? これは残してもよかった。上田の「フェルマーの名にかけて!」というセリフもあったがこれも今回限り。「やむ落ち」されてしまったが、奈緒子が上田に「賢いじゃん」「前向きじゃん」というシーンも登場している。

上田と奈緒子の距離感は、エピソード1にして形作られ、以後一貫してその距離を保っている。だんだん仲良くなってきたような気がしていたが、こうしてみると当時と現在と全く変わらない。最初は、阿部と仲間も初共演で慣れない部分もあったろうし、スタッフもどういう演技をさせるか迷った部分もあっただろう。現在はすっかり打ち解け、ツーといえばカーという間柄だと思われるが、それが表に出ていないのはむしろすごいことだ。

上田はすぐに見栄を張るが実際には気が弱い。それを見抜いた奈緒子は、最初こそ敬語を使い下手に出ているが、すぐに「上田」と呼びつけにし、命令したり揶揄したり……日常的に、かなり上から物を言うようになる。上田はいちいち腹を立てたりせず、静かに受け流すことが多い。そして得々と自慢話をする。年齢は上田の方がずっと上だが(阿部と仲間の年齢差は15歳)、精神年齢は同レベルのように思われる。上田も奈緒子も、友達は少ないタイプだろう。

危機に陥った時に、相手に「俺は死んでも構わないから、彼女だけは助けてくれ」というなど、普段の言動からは想像もつかないかっこいい場面もあるし、奈緒子が上田の気持ちを勘違いして照れる場面もある。お互い、どこまで自覚していたかは別にして、仲良しだし、惹かれあっていたのは間違いない。

ただし、今から思うと変わったな、と感じる部分もある。

里見は奈緒子の生活を心配しており、奈緒子が危機に陥ると体調を崩すなど、精神的な結びつきが感じられた。これはシーズン1の「黒門島」エピソードへの布石でもあるが、悪くない関係だった。シーズン2以降は里見の立ち位置がぶれてしまい、強欲なだけの、単なるギャグ要員になってしまったのは残念だ。

矢部は、刑事としてはやる気が感じられない、能力にも欠ける、部下にはやたらに威張るなどの点は今も同じといえば同じだが、エピソード1を見る限りでは、それでも仕事をしようという気持ちは感じられるし、最低限の仕事はしているように見える。近年では仕事のやる気が全く見られないし、そもそも事件に関わらないことも多い。いくらダメ刑事でも、刑事は刑事なのだから、エピソード1程度の立ち位置を続けた方がよかったと思う。

そして最後に。これは女優さんには失礼な物言いだが、ハタチの仲間由紀恵はやはりきれいだ。今でも仲間の顔は変わらないが、化粧が厚い。

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