窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

またまた観に行ってしまった「のだめカンタービレ後編」

渋谷の「シアターTSUTAYA」ではまだ上映中のため、またしても観に行った。これで5回目。

題名のだめカンタービレ 最終楽章 後編(5回目)
劇場シアターTSUTAYA

前回から少し時間が空いたためもあるが、全く飽きないのが不思議なくらい。ドラマとしてはあちこちに破綻が見られ、それほどよくできたものになっていない、というのが正直なところだろう。にも関わらず何度でも観たくなってしまうのは、ひとつには役者の熱演、そしてもうひとつは、やはりなんといっても音楽だ。

下手な役者が登場しない、どの役者も味があり、それぞれにうまいのがいい。吉瀬美智子のあのクサイ演技も全く厭味に感じられず、むしろ見入ってしまう。のだめ製納豆弁当(アルミホイルを敷いた上に、いったん茶碗やお皿によそったごはん、卵焼き、納豆をどごっと並べて丸めたもの)の豪快さは、漫画では味わえない、映像ならではだろうし、「のだめさんハイ!」の上野樹里の表情七変化も飽きない。それに、さんざん偉そうに振る舞ってきた「神様オレ様千秋様」の千秋が、後編ではのだめに振り回されっぱなしで、この千秋のヘタレぶりが何とも可愛い。

個人的なハイライトは、以前も書いたが、清良のカントナ国際の場面だ。彼女の演奏風景は何度見ても素晴らしいし、結果発表の場で後ろから峰に抱きついた清良の腕を、愛おしそうに何度も何度も撫でさする瑛太の演技もまた飽きない。これまで強気一辺倒だった清良が、珍しく「日本に帰りたい」と弱音を吐いたのに対し、「ダメだろう、結果出さねぇと」と厳しく突っぱねるものの、その理由は「高橋君にいじめられるぞ」で、清良の返事は「げえー」。会うのは2年ぶりなのに、会話のテンポがぴったり合っているのがうらやましくも微笑ましい。

TVドラマの「のだめカンタービレ」は群像劇であり、そこが魅力だった。ところがテレビのSP版、映画前編ではのだめと千秋にフォーカスされてしまっていて、フランク、ターニャ、リュカといった新しいキャラクターは出てくるものの、彼らの苦悩は描かれない。長い話を駆け抜けていかなければならない関係上、仕方のない部分でもあるのだろうが、それが物語を薄っぺらいものにしていた点は否定できない。ところが映画後編では、清良と峰の話がものすごく奥行きを与えている。

しかし清良、「3位はビミョー」と言うけれど、あの千住真理子さんだって、国際コンクールはパガニーニ国際で4位入賞しただけなんだよ。カントナ国際の「格」がどんなものかにもよるけど。

ドラマとしての問題点はこれまでも書いてきたが、孫Ruiと千秋の演奏にしても、のだめとミルヒーとのコンツェルトにしても、練習風景が全く描かれなかったのは致命的だろう。が、まあ欠点を補ってなおあまりある魅力があったということだ。こうなったらもう一回観てやるぞ。