劇場で観たかったのが、いろいろな事情でそれが叶わなかった。僕がレンタルで新作を借りてくるのは珍しい。
題名 | 東京島 |
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原作 | 桐野夏生 |
監督 | 篠崎誠 |
衣裳協力 | エルメス |
出演 | 木村多江(清子)、鶴見辰吾(隆、清子の夫)、窪塚洋介(ワタナベ)、福士誠治(ユタカ)、柄本佑(オラガ)、木村了(犬吉)、染谷将太(マンタ)、他 |
公式サイト | 映画「東京島」公式サイト |
制作 | 日本(2010年8月28日公開) |
雑感
よくわからない映画であった。
果物や魚介類は豊富にあって、とりあえず生きていくのに不自由はしないけれど、外界との連絡手段の一切を絶たれた南海の島に、男性30数名と女性1名がたどり着く……
予告編を見た時は、ミステリーなのかと思った。たった一人の女性をめぐって何人かの男性が不審死を遂げるらしいので。孤島と聞いただけでミステリーの舞台と考えてしまったのだが、そうではなかった。
サバイバルものかというと、必ずしもそうではない。極限状態に置かれた男女の性愛を追求したものというわけでも、必ずしもない。もっとも、一般映画のため露骨な表現はしていないものの、それを匂わせる表現は随所にあったといえばあったのだが。
清子の性格が今一つ不明。環境の変化に適応できない夫を疎ましく思うところまではわかるが、彼が不審死を遂げてもさして衝撃を受ける風でもない。夫をくじ引きで選ぶことにしたと言われたら、普通なら「私だって選ぶ権利はある!」と言い返すところだろうが自然に受け入れている。自分は(絶滅危機種の)トキである、という状況を素直に受け入れているということか。それが彼女なりの処世術なのか。
島の夫(ユタカ)を裏切ってホンコンのヤンについていくのも、脱出が失敗したらヤンのせいにするのも、普通に考えればひどい女だということになるのだろうが、そうしなければ生きられなかったのだろう。
しかし、大人たちだけならともかく、医師もいないのに出産までしてしまうとか、その後清子は救出され、社会復帰するのに、島に残った人を(自分の生んだ子を含めて)救出しないで身捨てるとか、荒唐無稽な印象を受ける。
あとで調べてみると、現実の「アナタハンの女王事件」を題材にしたものらしい。が、戦時中であること、期間は5年間、その後全員救出されている点で本作とは大きく違う。出産もしていない。
他でも言われているが、木村多江といえば薄幸の女性役が多かったが、本作ではかなりキャラが違う。ふてぶてしく、自分勝手で、生命力にあふれている。ある意味不幸な女だといえなくもないが、これまでとは違った側面を見ることができる。
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