窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

ALWAYS 三丁目の夕日'64

それなりに笑えたし、それなりにホロリともした。吉岡秀隆がいなければ、もっと良かったが……

題名ALWAYS 三丁目の夕日'64
監督山崎貴
原作西岸良平
出演吉岡秀隆(茶川竜之介)、小雪(茶川ヒロミ、竜之介の妻)、須賀健太(古川淳之介)、堤真一鈴木則文、鈴木オート社長)、薬師丸ひろ子(鈴木トモエ、則文の妻)、堀北真希(星野六子、鈴木オート従業員)、小清水一揮鈴木一平、則文の一人息子)、染谷将太(ケンジ、鈴木オート新米従業員)、三浦友和(宅間史郎、小児科医師)、もたいまさこ(大田きん、煙草屋のおばちゃん)、マギー(丸山、精肉店経営)、温水洋一(吉田、自転車屋)、ピエール瀧(自販機を見張る氷屋)、蛭子能収電気屋)、森山未来(菊池孝太郎、凡天堂病院外科医師)、大森南朋(富岡、「冒険少年ブック」編集者)、米倉斎加年(茶川林太郎、竜之介の父)、他
公式サイトALWAYS 三丁目の夕日'64
制作日本(2012年1月21日公開)
劇場109シネマズ港北

雑感

今年初めての映画。シリーズ第三作だが、一作目・二作目は見たことがない。ちょっと予習をしておくべきだった。原作漫画はチラチラ読んでいるのでだいたい知っているが、茶川先生に奥さんがいたのも驚きだし、何より六さんが女性だったのにはびっくりした。ほとんどの登場人物は前作からの出演で、初登場は染谷将太大森南朋くらいか。

これみよがしに、当時のモノ(カラーテレビとか)、風俗(「シェー」とか)、建物(東京タワーとか)が映し出される。大半は「懐かしいな」という感じだが、見せ方が少々わざとらしい。それがこの映画のひとつの特徴なのだろうけど。

オリジナルストーリーだが、こちらはごくありきたり(次の展開が読める)。こういう映画は、あまりハラハラドキドキさせる必要はなく、予定調和的な運びでいいのかも知れない。しかし原作の西岸良平作品は、毒にも薬にもならない話のように思えるが、必ずしもありきたりではない。ギャグは結構笑えたから、それはそれでいいのかも知れないが。しかし、お粗末な部分も目に付いた。

  • 堀北真希、男と付き合っていることを周囲の人に隠しておきたいなら、なぜ家の近くまで迎えに来させる? 彼の家にいくか、少なくとももう少し離れた場所を待ち合わせに選ぶのが普通なのではないか。初デートがテレビに映されたこともそうだが、ここまで脇が甘いのは不自然。
  • デートのあとのキスも拒否する六子が、泊まりがけの旅行に誘われてOKした真意はなんだろうか。「女になる」覚悟を決めたということだろうか。誰かしかるべき人の紹介とかなら別だが、そうではないとなると、当人の気持ちが何より大事なはず。それを事前の了解もなしにいきなり親元に連れていく菊池先生は、強引にもほどがある。このあたりのやりとりは、リアリティがない。
  • 「冒険少年ブック」に連載中の小説は、茶川竜之介と新人・緑沼アキラの2本だが、読者の人気は圧倒的に緑沼アキラ。編集部でも茶川の小説はもう古いと見ており、緑沼アキラの1本のみとすることに。茶川は知らなかったが、実は緑沼の正体は古川淳之介だった……というのはもっと不自然。単発ならともかく、連載ともなれば、当然編集部とのやりとりも頻繁に発生するだろう。編集者が家に尋ねてきたり、電話、手紙などがあれば、竜之介はほとんど家にいるのだからすぐに気付いたはず。編集部で打ち合わせをすれば竜之介とかち合う可能性もある。また淳之介にしても、プロとしての仕事はそれなりの負荷のはずで、学業や生活に影響が出ないはずがない(影響が出れば家族が気付く)。また、収入はどうしていたのか。富岡は知っていたようだが、それを茶川に隠していたのも変である。というより、連載前に親に挨拶して了解を取るのが普通ではないのだろうか。
  • 茶川竜之介と緑沼アキラの連載作品のうち、1本を切ることにした編集部は、当然、人気沸騰の緑沼を残して茶川を切ったのだが、この判断も非常に疑問である。緑沼が高校1年生であることを知っていたら、学業その他の都合でいつ辞めざるを得なくなるかわからないし、経験が浅い分、毎月コンスタントに水準を維持したものが書き続けられるのかも疑問が残る。茶川は、ずば抜けたものがなくても安定度ははるかに上のはず。まあダメならダメで、小説なしの漫画だけにすればいいということなのかも知れないが。
  • 薬師丸ひろ子の化粧(特に眉)がいかにも今風な気がするがどうなのか。女性のファッション史を語れるほど知らないけど。

もたいまさこ(の演じる煙草屋のオバチャン)のような人は今もいるし、昔もいただろう。頼まれもしないのに勝手に探りを入れて、しかも噂話を真に受けて裏も取らず、無責任な言説を拡大して流して歩く人。本人はいいことをしたぐらいのつもりでいるから余計にタチが悪い。こういう人、大嫌い。

配役

染谷将太ピエール瀧蛭子能収は出ているのに気付かず、エンドロールの名前を見て「え、どこにいた!?」ケンジはシリーズ初登場のキャラのようだが、その割に印象が薄い。鈴木オートも人が増えていました、というだけのモブキャラなのか。モブキャラに染谷将太を使うのか。

おまけ

来月は「荒川アンダーザブリッジ」が封切られる。全然予習をしていない。間に合うか。