2本立て映画の2本目。もともとはこの作品が目当て。
題名 | 夢売るふたり |
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脚本・監督 | 西川美和 |
出演 | 阿部サダヲ(市澤貫也、料理人)、松たか子(市澤里子、貫也の妻)、鈴木砂羽(睦島玲子、常連)、田中麗奈(棚橋咲月、出版社勤務のOL)、倉科カナ(佐伯綾芽、咲月の妹、夫は医師)、安藤玉恵(太田紀代、風俗嬢)、江原由夏(皆川ひとみ、リフティング選手)、木村多江(木下滝子、ハローワーク勤務のシングルマザー)、伊勢谷友介(太田治郎、紀代の元カレ)、香川照之(外ノ池俊作/外ノ池明浩、玲子の不倫相手とその弟)、笑福亭鶴瓶(堂島哲治、探偵)、村岡希美(松山和子、貫也が騙した女)、猫背椿(園部ますみ、貫也が騙した女)、古舘寛治(刑事)、やべきょうすけ(岡山晃一郎、貫也の旧友)、ムロツヨシ(合コン候補者)、他 |
公式サイト | 映画『夢売るふたり』公式サイト |
制作 | 日本(2012年9月8日公開) |
劇場 | 早稲田松竹 |
内容紹介
仲の良い夫婦、貫也と里子の営む小料理店は連日常連客で賑わっていた。が、厨房から火を出し、一切を失ってしまう。10年前に戻ったと思ってまたやり直そうと里子は言うが、貫也はすっかり腐ってしまい、昼酒三昧、パチンコ三昧な日を送る。里子はそんな貫也に文句ひとつ言わず、ラーメン屋で働き家計を支える。
ある日貫也は店の常連客だった玲子が泥酔しているところを見る。愛人が事故にあって意識不明になり、その家族から手切れ金を渡されて二度と来ないように言われたのだ。玲子を部屋まで連れて行くと、その晩関係を持ってしまう。玲子は貫也が金に困っていることを知り、もらった手切れ金をそっくり渡す。こんな金持っていたくない、以前のような気持ちのいい店を再建してほしいと言って。
大喜びの貫也は、昔の友人とばったり会って飲み明かし、窮状を訴えたら金を貸してくれたと里子に報告するが、あっさり浮気がバレる。当初はそんな金は受け取れないと、すべて燃やしてしまおうとまで考えるが、途中で何かのたがねが外れた。貫也の生来の愛想の良さは、傷心の女の心にするりと入り込む。この手を使えばいくらでも金が手に入るのではないか……
見所
雑感
松たか子は好きな役者だし、この映画が封切られた時は大河ドラマ「平清盛」にハマっていた時で、信西入道を演じた阿部サダヲが主演するのだからぜひ観たいと思っていた。種々の事情で見損なってしまったのだが、今になって上映館があることを知り、狂喜した次第。
しかし率直なところ、あまり感心しなかった。
ストーリーの展開にあまり必然性が感じられず、盛り上がりに欠け、後半はいつどうやって終わるのかわからないままダラダラと続いた印象。ラスト近く、刑務所で刑に服する貫也と、刑務所の近所の魚河岸で働く里子が、ともに同じ空を見上げるシーンは良かったけど。
素人が犯罪行為をすると、バレやしないか、つかまるのではないかと怯え、焦り、ビクビクするものである。それは二件、三件と手を染めるごとに神経が麻痺していったのかも知れないけど、善良な二人がこうした悪質な犯罪に手を染めた理由がイマイチ不明。貫也はまあ火事で何もかも失い、金のためならなんでもすると決めたのかも知れない。それでも葛藤があって、不平不満を里子にぶつけるシーンは小心者の貫也にふさわしいと言えるが、ためらうことなくどんどんディープな世界に進んでいく里子は、どういう心境の変化によるものなのか。夫の浮気でタガがはずれたというだけでは説明がつかない。
明るく愛想よく、夫の不始末が原因で家事を起こしても一切責めず、献身的に夫に尽くす妻であった里子が、貫也の浮気をあっさり見抜いて詰め寄るシーンは怖かった(写真下)。素足の使い方がすごくうまい。脚本に疑問は多々あるものの、松たか子もサダヲも(特に松たか子の)演技は抜群であった。
松のオナニーシーンは、あとから考えると、女誑しに精を出せば当然家庭内の性行為はなおざりになるだろうから、その欲求不満からの行為であり、里子の内面の葛藤を表わしているのか……と思えるが、最初は何をやっているのかわからなかった。机の上には読みかけの本、それも子宮がどうとかいう本や「家庭の医学」などで、床に寝転んでお股に手をやりあんあん言っているため、いわゆる婦人病の自覚症状があり、調べている時に子宮から突然出血したとかいうシーンかと思ったくらいだ(まあ、すぐにわかったけれど)。
しかしぱんつを脱いでの放尿シーン、いやあれは放尿ではなく生理の手当だったかも知れないが……その後の新しいナプキンを当てるシーン、あれはどういう意味があったのか全くわからない。サービスシーンというわけでもなかろう。こんなシーンで喜ぶのはよほどのマニアだけだ。
里子が木下滝子の家を訪ねていく理由も不明。貫也が自分のコントロールを離れ暴走し始めたから気になったということか……。それにしても帰る時に階段から落ちてお尻を擦りむく理由はさらに不明。当初、実は里子は貫也の子を身ごもっていて、それが流れてしまった、とかいうオチかと思ったが、そういうこともなかった。まあ、この時落とした包丁がのちの伏線になるわけだけど、包丁を落とすためだけなら階段から落ちなくて良かっただろうに。
その後、傷を気にしてジーンズを脱ぐシーンは、サービスシーンですかね。
松たか子といえば、新人女優が水着撮影を嫌がると「いまどき水着姿にならなくていいのは松たか子ぐらいだ」と叱られる、というのは有名な話で、どこまで事実かわからないが、そのくらい松たか子はセクシーな肢体を人前で見せない。水着はもちろん、ミニスカートや胸元の開いた衣装などは見た覚えがない。というか今画像検索をしてみたが出てこない(ヌード写真はたくさん出てくるが、これらはアイコラである)。その松がこんな大胆なシーンを見せたのは驚きである。もし自分だったら、ナプキンを広げるシーンを撮られるくらいなら、いっそおっぱいをぷるんと見せた方がまだましに思えるが……女性の監督から、「女の日常を描くために必要なシーン」と言われてやる気になったのか。
日常よりも非日常の方をもう少しきめ細かく描いた方が良かったように思う。つまり、なぜ犯罪に手を染めることを決意したのか、罪悪感はなかったのか、バレると思わなかったのか、つかまったらどうするつもりだったのか、そうしたことをだ。
配役
- 松たか子の足は長い。背が高い印象だけど、165cm、まあ女性としては高い方か。阿部サダヲは164cm。夫の方が少し足りない、という意図的な組み合わせと思う。貫也のコンプレックスはここに端を発しているのかも。
- 田中麗奈は若いと思っていたがもう32歳か。結婚できなくて悩む役をやるようになったのか……
- 鈴木砂羽が全然わからなかった。「相棒」でさんざん見ていたのに。
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過去記事
- 松たか子の独白会「告白」(2010/08/25)