「夫婦善哉」という言葉は聞き覚えがあるけれど、それがどういうものなのか全く知らなかった。もとは織田作之助の小説で、何度も映像化されている作品らしい。もともとそのような定評ある作品である上に、脚本が藤本有紀、主演が森山未來と尾野真千子と知って、見てみようかなと思った。
土曜日の夜にテレビを見る(時間を確保する)のは正直厳しいものがあるのだが、再放送もあるようだし、全4回なら続けられそうだ。「島の先生」と同じ枠だな。
脚本
出演
雑感
第一回目からネットでは評判が良かったようだけど、自分は、どのあたりを面白がればいいのかがわからなかった、というのが正直なところ。別に詰まらなかったわけではないが、特に盛り上がりもなかった。
柳吉は絵に描いたような放蕩息子で、とにかく生活力はゼロ。今風に言えば、典型的な「ダメンズ」だ。
ダメンズの中には(意外にも)女性にモテ、彼女や奥さんが必死で尻拭いをしてくれている人もいる。こうした人は、生活力がなくても遊びが洗練されているとか、女性を口説いてその気にさせるのがうまいとか、女性を虜にさせる「特技」を持っているものだ。ところが森山柳吉には、そのような魅力は(少なくとも僕には)全然感じられなかった。
蝶子をいろいろなレストランに連れて行ってハイカラなものを食べさせ、蝶子はそれが気に入ったようだが、蝶子のような仕事をしていれば、いろんな男を見て、それなりに目も肥えているだろう。普通に考えれば、おごってくれている間は(店に通ってきてくれている間は)仲良くするが、お金が切れたら縁を切るべき人のはず。まして、蝶子は「大阪一の芸妓になる」ことが目標なのだから、そのための役に立ってくれない人には興味がわかないはずではないか?
店の金を湯水のように使えた時はいいお得意様だっただろうが、勘当され(一文無しになって)蝶子に駆け落ちを迫ってきた時に、なんで仕事も家族も捨ててついて行こうと思ったのか。そこがわからない。そこがわからないから、そのあとの話がすべて嘘くさい。
以上、入り込めなかった理由を分析してみた。
終了後、twitterを見てみると、かなり盛り上がっていた。どこがどのように面白かったのか知りたいと思ってあれこれ眺めていたが、さっぱりわからない。twitterなんて多くは脳髄反射で書くものだし、140文字の制約もあるから、理路整然とした内容にならないのは仕方ないが、面白いと感じた部分やその理由をきちんと(他人にわかるように)述べたものはほとんどなく、読んでいる人も面白いと思っていることを前提に、「面白かったねー」「ねー」とやりあっているだけ。これでは面白さが外部には伝わらない。
昨年、大河ドラマの「平清盛」が、視聴率とは裏腹にtwitterではおおいに盛り上がっており、視聴率視聴率と騒ぐ人にtwitterでのこの盛り上がり具合を見てもらいたいと強く思う一方、テレビを見ていない人がこうしたTLを見て、そんなに面白かったのなら、自分も来週から見ることにしようかな、……というように思う人が出てくるのではないか、つまりは視聴率の改善に貢献するのではないかと思ったが、効果はなかったようだ。
今になって気づかされたが、熱心に見た視聴者同士で、内輪でいくら盛り上がっても、そのメッセージは外部の人間には伝わらないのだ。盛り上げているつもりで、却ってたこつぼ化を助長していたのかも知れない。
配役
過去記事
- 「官僚たちの夏」第五話「電算機を救え」(TBS)(2009/08/02)
- 作者: 織田作之助
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2013/07/03
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