アカデミー賞に本命視される作品が2つ同時に公開される。予定をやりくしてい2作品を一気に観た。まずは本作。
題名 | ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street) |
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原作 | ジョーダン・ベルフォート「ウォール街狂乱日記−「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生」 |
監督 | マーティン・スコセッシ |
出演 | レオナルド・ディカプリオ(ジョーダン・ベルフォート)、ジョナ・ヒル(ドニー・アゾフ、ジョーダンの盟友)、マーゴット・ロビー(ナオミ・ベルフォート、ジョーダンの二度目の妻)、カイル・チャンドラー(パトリック・デナム、FBI)、他 |
公式サイト | 映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』公式サイト |
制作 | USA(2014年1月31日日本公開) |
時間 | 179分 |
劇場 | TOHOシネマズ ららぽーと横浜 |
内容紹介
ジョーダン・ベルフォートは実在の人物。貧しい家の出で学歴もなかったが、証券会社の営業マンとして名を挙げ、26歳の時には一年間で4900万ドルを稼ぎ出す。自身の証券会社を設立、10年間、荒稼ぎし、栄光へ昇りつめたが、36歳で追放された。その狂乱の人生を描いた作品。
雑感
いったいこの作品のどこがアカデミー賞にふさわしいのか、全く理解できなかった。
まず第一に、「3時間はなげーよ」。ドラッグとセックスのシーンを半分に削れば2時間で済んだのではないか。長い割に中途半端でもある。叔母さんの遺言を偽造するためにスイスへ向かうエピソードは尻切れ蜻蛉だったと思うのだが、叔母に預けた1000万ドルはどうなった?
第二に、「話が下品過ぎる」。とにかく登場人物がやたらに「Funcking」と叫ぶ。ネイティブでなくたってイヤな感じを受ける(Wikipediaによればfuckという語が506回使われており、非ドキュメンタリー作品としては映画史上最多なのだとか。そんなところが世界一になってどうする)。
それに主人公と周囲の人間が日常的にドラッグを吸引する点。僕はドラッグが出てくるだけで嫌悪感があるのだが、ここまで四六時中ドラッグが手放せない主人公も珍しい。よくそれで仕事ができ、家族や友人とも付き合えるものだ。飲酒運転も禁じられているのに、ドラッグを吸って運転するのにはあきれるばかり。案の定、フェラーリをオシャカにし、ヘリを不時着させるが、誰も殺さず自分もケガをしないのは不思議。
セックス過多もやり過ぎ。好きな人がいるのに毎日のように娼婦を相手にするとか、会社にストリッパーを呼びつけるとか。勤務時間中はセックス禁止の規則だというが、そんな規則が存在すること自体おかしい。普通の会社にそんな規則はない。
一番疑問なのは、この会社がなぜ発展したかである。要はクズ株をさも値上がりするように言葉巧みに資産家に売りつけて利益を得ているわけだ。短期的にはそれで金を稼ぐこともできようが、時間がたてば、騙されたと知った客が文句を言ってくるだろう。その電話対応だけでも大変だし、中には法的手段に訴えてくる人もいるかも知れない。相手も金を持っているのだから、応戦するのは大変だ。そして、詐欺というのはヒット&アウエイが鉄則で、応戦していたら引き合わないはず。
つまり、大金をせしめたところで解散するか、さもなければ始終電話番号を変えたり、引っ越しを繰り返したりしないと続けられないはずである。ところが会社はどんどん大きくなり、売上げも伸びていく。悪評判が広まったりしないのか?
公式サイトには、林真理子が「この映画を見てオークモント社に入りたくない人間がいるだろうか」と書いているが、このコメントにも呆れる。「しょっちゅうシャンパンと悪ふざけを提供される社内の楽しそうなこと」。女子社員の髪を丸刈りにして1万ドルをくれてやるような「遊び」がしたいのか? うらやましいのか? 僕はお客様と会って、翌日も、一年後も、10年後も会ってもらえるような、そういう付き合いのできる仕事がしたい。手当たり次第に女とヤった代わりに妻と娘が出て行ってしまうのでは、何が楽しいのやら。そういう人生を「楽しそう」「うらやましい」と林真理子が思うのは勝手だが、僕はごめんだ。
全体的に軽い仕上がりになっているため、後味が悪いわけではないが、何も心に残ることがない。強いて言えば "Honesty pays in the long run."(正直者が最後は得をする)という諺の確信を深めた、という程度かな。
今日の英語
- Say hi, Rockey.(ロッキー、挨拶して)