窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(61):回転焼き屋オープン

第13週「1964-1965」(木)

放送日

  • 2022年1月27日

登場人物

概要

回転焼き屋「大月」開店。が、店の前は一通りが多いが誰も足を止めず行き過ぎる。店の中には桃山剣之介のポスターが貼ってある(裏にジョーがサインしたものか)。商店街の一角に金物屋「あかにし」があった! 吉右衛門が店をやっていた。顔はお父さんそっくり!

酒屋のおっさんいわく、京都の人はなじみのないものには手を出さない、赤螺吉右衛門いわく、味の肥えた京都の人に回転焼きなんか受け入れられない。店にベリー……野田一子がやってくる。回転焼き屋をやると聞いた時は冗談かと思ったが本当にやるとは。ひとつ食べて行ってください、というるいに、お茶の席で京都の高級和菓子を食べ慣れている私に餡に生地をつけて焼いただけのものを食べろと? そこへ酒屋のおっちゃんが大変だ、と走ってくる。

ジョーがあかにしの店先に並んでいたテレビで桃山剣之介の死を知り、号泣。吉右衛門は、自分はモモケンがデビューした年に生まれたのだと話しかけ、盛り上がり、二人で映画を思い出してちゃんばらを始めたのだが、途中で吉右衛門が腰を痛めた。森岡はそれをるいに知らせに来たのだ。謝罪するジョーとるいに、怒り心頭の吉右衛門は、商店街から出て行ってもらうと言い出すが、清子がたしなめ、二人を「おきばりやす」と励ます。

店に戻ると人だかりができていて、一子が売りさばいている。「野田さんとこの一子さんの折り紙付きなら」というのだ。一子は、これまで食べたどのお菓子よりおいしかった、という。

あかにしでは、お詫びのしるしにるいが持参した回転焼きを、清子と吉右衛門が食べる。吉右衛門は「懐かしい味がする」とつぶやく。

雑感

吉右衛門

吉右衛門が生きて、元気でやっていた。安子編で先が気になる三人の少年のうち、二人の消息がこれでわかったわけだ。吉右衛門に関しては、あのまま死んだかも知れないと不安だったが、清子の実家が京都だと言われていたため、京都編の布石なんだろうな、とも思っていた。同じ商店街に、しかもこんなに近くに店があるとは驚きだ。ただし、二人の関係に気づいているのは視聴者だけ。るいと吉右衛門は、吉右衛門が空襲のあと、すぐに京都へ行ったとすると、岡山では接点がほとんどない。るいの結婚前なら、雉真という名字で清子は気づいたかも知れないが、大月になったら何もわからない。最後まで吉右衛門らは知らないままのような気がする。

あの吉右衛門ちゃんがあのまま生きていたら、不合理や不条理をスパスパ糺してくれて、どんなに気持ちがいいかと期待したが、性格も口の利き方もお父さんそっくりになってしまった。テレビを見ていた客(ジョー)を、テレビを買いそうにないとみるや、追い出そうとするぐらいはまだいいが、桃山剣之介の話で盛り上がり、二人でチャンバラを始め、ジョーが叩いたとかいうわけでもないのに、腰を痛めただけで、奥さんまで駆けつける騒ぎになり、しかも商店街を出て行けとは理不尽過ぎる。いやあ、はしゃいで調子の乗り過ぎましたわっはっは、で終わるところだ。もしジョーが腰を痛めたら、吉右衛門は謝ったか。

るい

安子があれほど苦労し、夢想しつつも実現できなかった「店を持つ」をるいはあっさりクリアした。本当はあっさりでもなかったのだろうが、そこはドラマでは描かなった。それはいいが、菓子屋としての修行をしていないるいが、いきなり売り物を作れるのは出来過ぎだ。

安子が祖父や父の作った餡に対して「うちの餡は絶品です」というのは絶対の自信の表われだろうが、るいが自分の餡を一子に対して「絶品です」というのは、初心者ゆえの過信にしか感じられないし、一子が「これまで食べたどの御菓子よりもおいしい」というのはちょっと信じられない。他のお菓子屋さんにあまりに失礼だろう。ただし老舗の作る凝った(お上品な)和菓子しか知らない一子が、回転焼きのようなジャンクな味に触れて、意外にいけるな、と驚いたならわかる。そういうことだったのだと解釈しよう。

その他

  • 幼い頃を務めた子役が、本役の人が結婚して子ができた時に再登場する、というのは珍しくない。大河ドラマでは「軍師官兵衛」の若山耀人が黒田官兵衛と長政の少年時代を演じた。「江」では芦田愛菜が茶々と千姫を演じた(この場合は娘ではなく姪だが)。が、成長して大人になった時に父親役の人が再登板するというのは例がないのではないか。このドラマだからできる仕掛けだ。
  • 同じく、桃山剣之介の息子の団五郎を尾上菊之助が演じているのも驚き。きりりと締まった棗黍之丞(なつめ・きびのじょう)とは全く異なる、コミカルなテレビ俳優で、尾上菊之助もすごい。



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