第06週「女の一念、岩をも通す?」(金)
放送日
- 2024年5月10日
概要
とうとう合格した寅子。先輩の久保田、中山、そして寅子と合格者が三人も出たことで、廃部寸前だった明律大学女子部は息を吹き返す。初の女性弁護士誕生と新聞が大々的に報じ、大学では祝賀会が開かれることに。口述試験に落ちたよねは寅子のもとを訪れ、「いつか必ず合格してみせる」と寅子に約束する。祝賀会の席で寅子はスピーチを求められ――。(NHKオンデマンドの解説より)
今日の祝賀会での寅子
「私はずっと一番になりたくて頑張ってまいりましたが、自分がこの国で一番優秀だとは、全く思えません」
「なるほど、謙虚でいらっしゃる」
「はて、謙虚? 昔から私は、自信過剰、負けず嫌い、一言多いと言われて来ましたが、……
「この場に私が立っているのは、私が死ぬほど努力を重ねたから。でも、高等試験に合格しただけで、自分が女性の中で一番なんて、口が裂けても言えません。志半ばで諦めた友。そもそも学ぶことができなかった、その選択肢があることすら知らなかったご婦人方がいることを、私は知っているのですから。
「でも今、合格してからずっとモヤモヤとしていたものの答えがわかりました。私たちすごく怒っているんです。ですよね? 法改正がなされても、結局、女は不利なまま。女は弁護士にはなれても裁判官や検事にはなれない。男性と同じ試験を受けているのにですよ?
「女ってだけで、できないことばっかり。ま、そもそもがおかしいんですよ。もともとの法律が私たちを虐げているのですから。
「生い立ちや、信念や、格好で切り捨てられたりしない。男か女かでふるいにかけられない社会になることを、私は心から願います。いや、みんなでしませんか? しましょうよ。私はそんな社会で、何かの一番になりたい。そのためによき弁護士になるよう尽力します。困っている方を救い続けます。男女関係なく!」
感想
第一部・完
伊藤沙莉は声がいいとかねがね思っていたが、今日はその魅力が全開だった。取材に対する答えが寅子の独演会と化したが、最初はゆっくりと考えながら、次第に熱を帯び、声に迫力が増して行く。最後の「男女関係なく!」の力強さには痺れた。劇伴の良さも相俟って、本当に感動するシーンとなった。
恐らくこのセリフには主人公の、そしてドラマ制作者の訴えたいことが凝縮されているのだろう。見事な「序章の終わり」だった。
山田よね
法律に関する答弁には絶対の自信があったようだが、案の定、服装について訊かれ、試験官を侮辱してしまった。本人は、自分を変えるつもりはない、何年かかっても、このスタイルで合格して見せる、と意気込んでいた。昨日は、もしかしてよねも辞めてしまうのではないか、心配だったので、続けるという点には安堵した。が、今のよねでは確かに合格は覚束ないだろう。信念を曲げて、口述の日のみ女装する、といった気遣いはしなくていい。しかし、気に入らないことがあると、誰かれ構わず噛みつく癖はいい加減改めるべきだ。今回も、なぜ自分がこういう服を着ているのか、落ち着いて説明する道はあったはずだ。
花岡悟
寅子と二人だけで会って、花束を渡し合格を祝ったりしている様子は、もしかして二人は付き合っている? と思わされたが、花岡がプロポーズぽいことを口にした時に「はて?」という顔をしたところを見ると、付き合っていると思っているのは花岡だけで、寅子は全くそうは思っていないんだろうと察せられた。
とはいえ、学生時代、花岡が寅子に気のある素振りを見せた時、照れて嬉しそうな顔をしていたことがあったし、花江が「さっさと花岡寅子になっちゃえば?」と言ったのも、寅子が家で花岡の話をよくするからではないかと思うし、気になる。寅子には花岡が合わないと思うのだが。SNSでは、「花岡は柏木学生枠」という説が出て来た。なるほど!
佐田優三
優三メインの話はなくなっても、一緒に住んでいるのだから、しばしば話に絡んで来たり、画面の隅に映っていたり、そういう形でずっと存在すると思っていたが、今日は全く姿を見せなかった。たまたまだよね? もしかして、司法試験を目指さない、すなわち「書生」ではない、ということで、猪爪家を引き払い出て行ってしまったのだろうか?