2時間にも及ぶ長いドラマだったが、意外に退屈しなかった。
「交渉人」シリーズを見た時、失敗したと思ったのは、こんなにカッチリした警察ドラマを見てしまったら、まだ見終わっていない「トリック」シリーズがどうしようもなく感じてしまうのではないかと。少なくともこの映画に関してはそんなことはなかった。
もちろん、ぐだぐだな点はある。人が次々に死んでいるのに警察が一度として来ないし。怪しい村に入ってからはともかく、都会の高級料亭で人が死んでいるのに誰も警察を呼ばないのは、いかにもTRICK的。
そもそも、不思議な風習や因習が支配する、険しい崖などで外界から隔てられた村に乗り込んで、人が死んだり殺されそうになったり、というのはTRICKでは繰り返し使われた設定で、「またか」の感は拭えない。
しかし、話は思ったより起伏があり、ところどころのギャグも笑えるものが多かった。そして、奈緒子(や上田)が命をかけてあれほど苦労するにも関わらず、最後は里見がちゃっかりおいしいところをかっさらっていく展開も面白かった(もっとも、これまたTRICK2の最終エピソードとかぶるけど)。
なにより、今回はこれに尽きる、と思わせるのは、上田から奈緒子へのメッセージ:
あ い た い
い ま か ら
シ ス ラ ナ
て は い
上田は横書きで書いたのだけど、奈緒子が縦に読んでしまって、大いに照れ、「嬉しくないわけがない」などとつぶやいたのは、長年の視聴者としては嬉しい限り。しかも、殺される寸前に逃してもらえることになり、時価数億円というお宝までもらったのに、それを突っ返して村に戻ったのは残った上田が心配だからだろう。このあたりは、うひひひ、奈緒子も、口では突っ張っていても本当は……とニマニマしてしまった。
- 冒頭で奈緒子のジャージ姿が拝める。別のドラマではおなじみの姿だが、「トリック」においては新鮮!?(「ごくせん」は2002年4月から、本作は2002年11月公開)
- 山田里見の書道教室が映った際、「パート3希望」と書いている子がいた。
- 事件の依頼が奈緒子に直接来るのは初めてでは?
- アパートを立て直すから来週には出ていくように言われる。いくら大家だからといってこんな横暴は通らず、相応な保証(立ち退き料)に相応な期間を立てる必要がある。が、奈緒子はこれに従うようだ。引っ越し先として上田に同居を持ちかけるが、さて……?