窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「顔」第2話「目立ちたがる容疑者…」

出演

  • 三木さつき(林純子、警部補)
  • 左右田一平(石井、遠藤の祖父)
  • 本郷弦(木村、かすみ銀行北山支店)
  • 山崎一(海老沢監察官)
  • 山岡祐子(遠藤)

粗筋(ネタバレあり)

銀行強盗の訓練のため、「かすみ銀行・増淵支店」で模擬強盗を行なっているまさにその時、同行の北山支店に本物の強盗が入る。内通者がいるのだ。監察官の調査が入り、平野も厳しい取り調べを受ける……。

林警部補が付き合っていた深井巡査はギャンブル好きで、街金から1000万円からの借金を負っていた。模擬強盗のことを知った林は、深井に指示して、同じギャンブル仲間で銀行のお金を遣い込みしていた行員やチンピラと組み、銀行の金を奪わせた。深井巡査に鉄壁なアリバイを用意し、監察官にはわざと内緒にしていた自分と深井巡査との関係をリークして疑わせ、その疑いを晴らさせるという手の込んだ手法で目をそらせようとしたのだ。

矛盾に気づいた平野は西島とともに林を問い詰め、自首を薦めるのだった。

感想

30過ぎて縁遠くなっていた林は、借金まみれであっても結婚してくれそうな深井に逃げようとしたあたりの心情は哀れだが、やっていることはちょっとどうかな。法的・倫理的な問題は別にしても、模擬強盗と同時に実行すれば……警察の到着が遅れるから逃げ切れると思ったのか? でも遺留品を一切残さず立ち去るのは至難の業であることは林がよく知っていようし、内通を疑われれば、いくらごまかしても、いずれバレるとは思わなかったのだろうか? まあ切羽詰まった人はそんなこと考えていられないのかも知れないけど。

それより、平野に問い詰められて、ほとんどごまかすことなくあっさりと白状したのが解せない。平野は一切証拠を示していないし、自分を慕ってくれている後輩なんだから、「あんた、私を疑っているの?」「私は信用されていなかったのか……。悲しいな」とか怒ったり落ち込んだりすれば、それ以上の追求はできなかったはず。だからこその西島の「深井は吐きましたよ」なんだろうが……

目が光るライティングの多用は前回からだが、今回は多用し過ぎて不気味。

前回の僕の提言(?)が聞こえたのが、平野瑞穂は制服姿の時も髪をまとめるのをやめた。その方が可愛いが、やたらに髪をかき上げる仕草は、やはり仕事中には不向きかな。

海老沢監察官が、ただの厭な奴ではなかったのが救い。

配役

前回も感じたが、オダギリジョー玉木宏に似ている。特に目つきが。リアルタイムだと年齢差があって気づかなかったかも知れないが、当時のオダギリジョーに現在の玉木が似ている、と思う(実際にはオダジョーは当時27歳、現在の玉木は32歳なのだが)。

「顔」第3話「裏切られた愛を告発する似顔絵…」

出演

粗筋(ネタバレあり)

平野が左遷させされた真相が明らかに。間違った似顔絵を描いて捜査を撹乱させられたからということになっていたが、実は、似顔絵を描く際に担当した刑事が誘導尋問にかけたため、いざ犯人をつかまえてみたら似顔絵とは全然似ていなかった。これでは警察の面子が丸潰れになるため、写真を見せて、記者会見用に改めて似顔絵を描けと指示されたにも関わらず、平野はこれを拒否。そのために懲罰人事がくだったとのこと。

さて、今回の事件は平野のあとを継いで鑑識で似顔絵を担当することになった三浦婦警の話。傷害殺人事件が発生し、残された指紋から前科のある砂田が容疑者として浮上したが、警察はそのことを隠し、砂田の写真を目撃者に見せて確認を取ると、その砂田の似顔絵を三浦に描かせ、似顔絵捜査によって砂田を確保した……ということにしたかった。これは亀田と本間課長の間で話が出来ていて、鶴田班には知らされていなかった。あとからそれを知った鶴田、西島、そして平野は本間に詰め寄る。

本間は言う。指紋だけで指名手配はできない。また写真を配ってしまうと、万が一間違えていた時取り返しがつかなくなる。名前を出さず、似顔絵であれば、仮に間違えていても言い訳が可能。似顔絵にはこういう使い方もあるんだと。当然、半年前の平野の事件で失った警察の面子(似顔絵捜査)を回復させる狙いもあるのだろう。平野は言う。似顔絵担当者は人間だ。心がある。傷つくこともある……

しかし、三浦は本間に見せられた写真を見ながら絵を描いたのではなかった。実は砂田は以前恋人だったが、砂田がスピード違反で捕まった時に三浦にはそれを揉み消す力がないとわかると、あっさり捨てられたのだという。今回の事件の犯人が砂田らしいと分かった時、だから何も見なくても似顔絵はすらすら描けたのだ。怨んでいたから、早くつかまりますようにと。

西島は、平野に似顔絵がおかしい(目撃証言を元に描いたにしては精密過ぎる)と言われた時は無視し、本間に対しては何も言えなかったけれど、最後に平野に「まあ、気にすんなよ」と気遣う様子を見せる。

感想

今回は面白かった。

平野の時の事件における警察のやり口は、確かにあざとい。平野がそれを拒否するのは当然、拒否した平野に懲罰人事はおかしい。結局犯人が逮捕されたので、問題にするようなことではないと思うが、もし誰かが注意されるなら、それは誘導尋問によって誤った証言を引きだした刑事だろう? 

今回の事件は、本間課長の言い分には一理ある。もっとも、それならはじめから鶴田らにも説明をしておけば良かったのに、黙っていたということは、本人も後ろめたい気持ちがあったということ。もっと堂々としていてもよかったのに。

三浦と砂田がかつて恋愛関係にあったというのは、ちょっと作り過ぎだと思うが、似顔絵を描いた日に三浦が泥酔して帰ってきたのは、本間課長から無理な指示がくだったからではなく(当初、平野はそう判断した)、かつて愛した人を――恐らく今でも愛している人を――自分の手で追いつめなければいけないことに対するやりきれなさからだった、というように話を膨らませたかったからか。

三浦の描く似顔絵のタッチが平野の描いたものとそっくりなのが笑えた。最初は、三浦が描いたことになっているけど実は実際に描いたのは平野だった、というオチなのかと思ったほど。実際に絵を描いた人が同じなんだろうけど、ここは描き分けるべきだった。