窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「顔」第3話「裏切られた愛を告発する似顔絵…」

出演

粗筋(ネタバレあり)

平野が左遷させされた真相が明らかに。間違った似顔絵を描いて捜査を撹乱させられたからということになっていたが、実は、似顔絵を描く際に担当した刑事が誘導尋問にかけたため、いざ犯人をつかまえてみたら似顔絵とは全然似ていなかった。これでは警察の面子が丸潰れになるため、写真を見せて、記者会見用に改めて似顔絵を描けと指示されたにも関わらず、平野はこれを拒否。そのために懲罰人事がくだったとのこと。

さて、今回の事件は平野のあとを継いで鑑識で似顔絵を担当することになった三浦婦警の話。傷害殺人事件が発生し、残された指紋から前科のある砂田が容疑者として浮上したが、警察はそのことを隠し、砂田の写真を目撃者に見せて確認を取ると、その砂田の似顔絵を三浦に描かせ、似顔絵捜査によって砂田を確保した……ということにしたかった。これは亀田と本間課長の間で話が出来ていて、鶴田班には知らされていなかった。あとからそれを知った鶴田、西島、そして平野は本間に詰め寄る。

本間は言う。指紋だけで指名手配はできない。また写真を配ってしまうと、万が一間違えていた時取り返しがつかなくなる。名前を出さず、似顔絵であれば、仮に間違えていても言い訳が可能。似顔絵にはこういう使い方もあるんだと。当然、半年前の平野の事件で失った警察の面子(似顔絵捜査)を回復させる狙いもあるのだろう。平野は言う。似顔絵担当者は人間だ。心がある。傷つくこともある……

しかし、三浦は本間に見せられた写真を見ながら絵を描いたのではなかった。実は砂田は以前恋人だったが、砂田がスピード違反で捕まった時に三浦にはそれを揉み消す力がないとわかると、あっさり捨てられたのだという。今回の事件の犯人が砂田らしいと分かった時、だから何も見なくても似顔絵はすらすら描けたのだ。怨んでいたから、早くつかまりますようにと。

西島は、平野に似顔絵がおかしい(目撃証言を元に描いたにしては精密過ぎる)と言われた時は無視し、本間に対しては何も言えなかったけれど、最後に平野に「まあ、気にすんなよ」と気遣う様子を見せる。

感想

今回は面白かった。

平野の時の事件における警察のやり口は、確かにあざとい。平野がそれを拒否するのは当然、拒否した平野に懲罰人事はおかしい。結局犯人が逮捕されたので、問題にするようなことではないと思うが、もし誰かが注意されるなら、それは誘導尋問によって誤った証言を引きだした刑事だろう? 

今回の事件は、本間課長の言い分には一理ある。もっとも、それならはじめから鶴田らにも説明をしておけば良かったのに、黙っていたということは、本人も後ろめたい気持ちがあったということ。もっと堂々としていてもよかったのに。

三浦と砂田がかつて恋愛関係にあったというのは、ちょっと作り過ぎだと思うが、似顔絵を描いた日に三浦が泥酔して帰ってきたのは、本間課長から無理な指示がくだったからではなく(当初、平野はそう判断した)、かつて愛した人を――恐らく今でも愛している人を――自分の手で追いつめなければいけないことに対するやりきれなさからだった、というように話を膨らませたかったからか。

三浦の描く似顔絵のタッチが平野の描いたものとそっくりなのが笑えた。最初は、三浦が描いたことになっているけど実は実際に描いたのは平野だった、というオチなのかと思ったほど。実際に絵を描いた人が同じなんだろうけど、ここは描き分けるべきだった。